東京五輪で吉川晃司超えを目指す水球界の王子「小さな巨人」荒井陸 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 荒井にはアジリティを生かして磨き上げたテクニックがある。

「ドライブです。カットインして相手をかわしながら点を取りにいく技術なんですけど、昔から自分の武器にしています」

 イメージとしては、サッカーのようにサイドでボールを持った選手がドリブルして中に入り、シュートを放つ。もともとはチャンスメーカーとしてプレーしていた荒井だったが、ポイントゲッターに変わったのは、ハンガリーの名門クラブ・ホンヴェードに入団してからだった。

「今までのプレースタイルでやっていたら、そのうち使われなくなって、監督に『チャンスメークじゃダメだ』と。たしかに、みんなゴールへの意欲がすごい。自分はそれまでゴールに対して消極的だったので、これはいい機会だなって思って、プラスにとらえました。そこから点を取りにいくスタイルに変わったんです」

 欧州のボールゲームは、サッカーをはじめ、ゴールするという結果を出さないと評価されない。とくに外国人枠で入団した選手は、試合に勝たせるためのプレーはもちろん、ゴールも求められる。

 欧州と日本の価値観の違いに気づき、プレースタイルを変えた荒井はまた試合で起用されるようになった。

「そこが大きなターニングポイントになりました」

 当時も今も、プレーヤーとして理想としているのが、サッカー・アルゼンチン代表のリオネル・メッシ(バルセロナ)だ。

「水球とサッカーは違うスポーツですけど、相手に向かっていくドリブルとかは動きも似ていて、参考になることが多い。小さい選手でもできるんだというのを見せたい気持ちも同じだと思います」

 ちなみに、荒井がプレーしていたハンガリーは水球大国と言われ、荒井いわく「国内の選手は広告のモデルなどになっていて、街を歩いていると声をかけられることも多い」という。さらに試合会場のアリーナには2万人以上のファンが入り、サッカーや野球のように熱い応援が繰り広げられる。

「ハンガリーの水球熱はすごい。日本でもそうなる可能性はあると思っています」

 荒井がそう語るのは、東京五輪があるからだ。

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