IOCも注目のハンドボール世界選手権。コロナ感染防止の「バブル」とは (2ページ目)

  • 田口有史●取材・文 text by Taguchi Yukihito
  • photo by Taguchi Yukihito/JHA(日本ハンドボール協会)

ホテルの玄関で、選手の荷物を消毒する係員ホテルの玄関で、選手の荷物を消毒する係員 今回、筆者がここに至るまでの経緯を説明したい。ハンドボールの世界選手権の取材は男女合わせて6回目。スウェーデンを皮切りに、フランス、ドイツ、19年12月には熊本で開かれた女子の世界選手権をオフィシャルカメラマンとして撮影した。その後、日本代表が今大会の出場権を獲得したクウェートでのアジア選手権も含め、日本の戦いぶりを撮影し続けている。

 そうした中、このコロナ禍がさらに世界的に再拡大しているタイミングでの世界選手権開催。果たして、どういう形なら撮影が可能なのか、大会開催前月の昨年12月に入っても、なかなか状況がつかめないでいた。

 メディア申請の概要は12月10日過ぎに発表され、バブル内で取材をするメディアと、リモート会見のみに参加ができるメディアと2通りの申請項目があった。自分の場合は写真を撮影したいわけなので、現地に行かないわけにはいかない。当然、バブル内での取材申請をする。要項を読んでいくと、現地空港到着時にPCR検査を受けてからプレスパスを受け取り、組織委員会の用意したバスでメディア用バブルのホテルへ向かい、その後バスでホテルと試合会場の往復以外は外出禁止と説明してあった。

 手厚い保護でよいと思ったものの、メディア指定ホテルはカイロ市内。日本が1次リーグを行なうのはバスで3時間半かかると説明されているアレクサンドリア。エジプトの砂漠の中、毎日往復7時間はさすがに苦しい。しかし覚悟を決めて行くしかない。そんなことを考えるのと並行して、日本ハンドボール協会に、日本代表チームに帯同して大会の様子を記録・発信していくことを提案した。

 幸いにも、ダグル・シグルドソン監督、舎利彿(とどろき)学コーチらのコーチ陣はじめ、選手たちもカメラマンの帯同に好意的だった。日本の新聞社・通信社は残念ながら海外取材は難しいとのことで、現地取材申請者は0。試合結果をはじめ、写真やコメントもこのままでは入手困難との判断から、日本ハンドボール協会が自分をチームに帯同させる決定をし、急転直下、選手団の一員として「バブル」の中で活動することになった。

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