水谷隼が「球は見えるか」の不安を乗り越え、復活の兆しを見せている (4ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by AFLO

 加えて2月15日のTリーグ、勝てば木下がプレーオフ・ファイナル進出が決まるT.T彩たまとの試合でも、第2マッチに出場した水谷は、青森山田時代の後輩で共に日の丸を付けた戦友でもある松平健太に3-2で勝利。チームをレギュラーシーズン1位に導き、ここ一番での勝負強さも戻ってきた。

 そんな水谷は、五輪という舞台についてこのように話していた。

「五輪には、アスリートを惹きつける魅力がある。小さい頃から夢に描き、大人になってもそれは変わらない。『あの舞台に立ちたい』『メダルを獲得したい』。その一心で挑戦し続けられる魅力が、"あの場所"にはあるんです。そういう想いを持って集結する選手たちがいるなかで、自分の力を全て出し切り、通用するのかどうか。ただ、それが知りたいんです。東京五輪でも、その時の全力を出して、最後に頂点からの景色を見たいなと思いますね」

 水谷隼という卓球人が、その競技人生の集大成として臨む東京五輪。15歳から代表に選ばれ続け、日本卓球界の歴史を築いてきた男の、日の丸を背負って戦う最後の姿をこの目に焼き付けたい。

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