2020.02.28

水谷隼が「球は見えるか」の不安を乗り越え、復活の兆しを見せている

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by AFLO

 日常生活に支障はないものの、「暗い会場で、なおかつ卓球台にだけ白い光が当たっていて、LED掲示板で囲われている場合は、ほとんど球は見えていない」と水谷。その状況下だと、相手が打った際に、一瞬、球が消え、ネットを越えたあたりから突然現れるという。

 したがって、会場の設備によってサングラスを使用すべきか判断し、一球一球、つねに「球は見えるのか」という不安のなかで戦い続けてきたのだ。

 Tリーグ・木下マイスター東京での試合の際にも、ゲーム前には入念にサングラスのほこりを拭き取る姿が見られ、後半はあえて着用せずにプレーしてみたりと、試行錯誤しながら試合に臨んでいた。

 本人が「今の自分は全盛期の3割くらい」と話すように、プレーにおいて多少の衰えはあるのかもしれない。それでも、満身創痍の身体で自分との戦いに挑み、国際大会でコンスタントに結果を残し続けた。その末に、東京五輪への切符を掴み取った。まさに、彼のプロとしての真髄が見えた1年だった。

 たった2枠しかないシングルス代表に入り込むことは叶わなかったが、団体戦に加え、東京五輪で採用された新種目・混合ダブルスでの出場権を獲得した水谷。冒頭のコメントにもあるように、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪の団体戦では個人としては負け知らず。3大会連続で出場している経験からも、彼に対する期待と信頼性は揺るぎない。