「大魔王」伊藤美誠のプレーは予測不能。中国も恐れる独創的な進化 (2ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by Kyodo News

 実際に、11月のオーストリアOPで世界ランキング5位の中国・朱雨玲(ジュユリン)を破って2019年ツアー初優勝。多彩な技を駆使して相手に的を絞らせず、世界ランキング1位になったこともある朱雨玲を圧倒した。伊藤はつねづね、「中国選手は、もう勝たないといけない存在」と話しているが、その意識が同大会優勝へと導いた。

 もちろん中国勢も黙ってはいない。12月のワールドツアーグランドファイナル準々決勝では陳夢(中国)に1-4で敗北。第1ゲームは1-9から8連続ポイントなどで逆転し、そのまま12-10で先取したが、最終的に陳夢の強烈な両ハンドに屈して悔しさをにじませた。それでも伊藤は立ち止まることなく、さらなる進化を見据えている。

「中国選手とやる時も、余裕を持って戦えるくらいの実力をつけていきたい」

 2019年の中国選手との試合は10勝14敗と、勝率4割超え。2年連続で10勝以上を挙げた。中国以外の海外選手には1度も負けておらず、東京五輪に向けて残す壁は中国勢のみだ。その壁も、すでに崩しかけている。

 2019年最後の大会となった12月の卓球ジャパントップ12では、決勝で平野美宇との"みうみま対決"を制して初優勝し、「無敗の女を目指して頑張っていきたい」と力強く宣言した。

今季に何度も口にしていたように、「楽しみながら、自分らしく」卓球をしながら、独創的な進化を続けていく。その先に、中国勢を退けての金メダル獲得が見えてくる。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る