2019.12.01

おりひめジャパン、五輪を見すえて
女子ハンドボール世界選手権に挑む

  • 木之下 潤●取材・文 text by Kinoshita Jun
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 後半は1点を取り合うシーソーゲームとなった。スロベニアは速攻、セットオフェンス(相手がしっかりディフェンスに戻っているときの攻撃)、7人攻撃(GKをCP=コートプレーヤーに代えてCP7人で攻める)と日本ディフェンスの状況を見てさまざまなオフェンスを仕掛け、攻勢を取ろうとしてきた。一方、日本もうまく交代を使いながら焦ることなく、粘り強いディフェンスからオフェンスにつなげて淡々と得点を重ねた。

 試合終了1分前、得点は28-28。ラスト25秒、日本はオフェンスになったタイミングで、ウルリック・キルケリー監督がタイムアウトを取って最後の指示を入れた。しかし、CB石立真悠子が放ったシュートはゴールを外れ、初戦を引き分けた。

 試合後、コーチの櫛田亮介は「原が離脱したのは残念ですが、今いるメンバーの誰が出てもレベルを落とすことなく戦えるのが日本の強みです。明日からの試合、そして世界選手権も十分に戦えると思っています」と自信をのぞかせた。

 その言葉どおり、2戦目のフランス戦も、2年前の前回の世界選手権王者を相手に日本は実力を示した。

 スコアこそ23-28と5点差がついたが、日本は自分たちのスタイルを貫いた。フランスの高さのあるPVには必ず2人のディフェンスで対抗し、クロスアタックに対しても粘り強く対応した。そして、ボールを奪ったら積極的に速攻を仕掛け、相手のディフェンスがそろう前にシュートチャンスを作ろうとチャレンジ。さらに、セットオフェンス時は前半からゴールキーパーとオフェンス要員を交代させてパワープレーを行なった。

 だが、フランスはチームとしても、個人としても、状況判断においても日本より1枚上手だった。

 ディフェンスでは日本のパス回しのちょっとしたズレを見逃さずにスチールし、速攻につなげて得点を奪う。また、オフェンスでは強靭なフィジカルを生かした素早いパス回しで日本のディフェンスを揺さぶり、強力なPVがしっかりとブロックしながら高さを使って、立体的にシュートスペースを作って得点を重ねた。