NFLのトレンドは「トリプレッツ」。パス偏重の時代は終わった (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 QBドリュー・ブリーズは昨季、パス成功率で74.4%という、とてつもない数字を残した。この数字は彼の力量もさることながら、WRマイケル・トーマスとRBアルビン・カマラという強力なサポーティングキャストがいたからこそでもあった。

 トーマスは卓越した捕球技術を持っているため、ブリーズも思い切って速いパスを投げこむことができる。オフには5年総額1億ドル(約110億円)の契約延長を結び、リーグ最高給のWRとなった。

 また、カマラの存在も極めて大きい。ディフェンダーのタックルをすり抜ける独特のラン技術と、秀でたパス捕球技術を兼ね備えている。相手からすれば対策の立てにくい、非常に厄介な選手だ。この3人の奏でるオフェンスは、NFLで最もダイナミックだと言ってもいいだろう。

 セインツのトリプレッツが抜きん出ているため、それ以下の序列をつけるのは容易ではない。ただ、「ダイナミックさ」という点では、セインツと並んでカンザスシティ・チーフスも注目だ。

 MVPに選出されたQBパトリック・マホームズ中心に、昨シーズンは1試合リーグトップの平均35.3得点をマークし、レギュラシーズン12勝4敗の好成績を収めた。マホームズを支える残りふたりのトリプレッツは、TE(タイトエンド)トラビス・ケルシーとRBダミアン・ウィリアムズだ。

 とりわけ、マホームズとケルシーとのホットラインは「NFLで最も止められないコンビネーション」と称される。ただ、昨季まで正RBだったカリーム・ハントは、暴行騒ぎを起こして解雇となった。ウィリアムズの力量はハントより落ちると予想されるが、新たに結成されたニュートリプレッツに期待したい。

 また、今シーズンはロサンゼルス・チャージャーズのトリプレッツも推したい。37歳ながら昨季キャリアトップクラスの成績を残したQBフィリップ・リバース、長身かつ高いパスの捕球能力が飛び抜けるWRキーナン・アレン、そして加速力が武器のRBメルビン・ゴードンのトリオだ。

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