水谷隼、人生初の大スランプ。「ボールが消える」から打開の一手は? (2ページ目)

  • Photo by Chiba Itaru/AFLO

――正式にコーチ要請をしようと考えたのはいつ頃からですか?

「今年の2月か3月くらいですね。パーソナルコーチに関しては、ずっと前から探していたんですが、日本の卓球界はそういうコーチの人数が少ないんです。みんな別の仕事を持っていて、自分に100パーセントの力を注いでくれる人がなかなか見つけられず、半ば諦めていました。それでも、『強くなるためには彼の力が必要だ』と強く思うようになって、コーチをお願いしたら快く引き受けてくれた。勤めていた卓球ラバーの製造工場を辞めてまで日本に来てくれたので、感謝しかありません」

――水谷選手は今年6月のジャパンオープン後に、当時66キロあった体重を8月までに60キロまで落とすという前言をしました。それもコーチと前もって話をしていたのでしょうか。

「いえ、それは僕個人で決めたことです。厳しい目標を立てて自分を追い込みたかったので。あと2.5キロくらい落としたいんですが、なかなか体重が減らなくなってきました(笑)。脂肪を減らしてプレーにキレを出すことも狙ってのことで、一度60キロに達したら、今度はパワーをつけていこうと思います。

 そこは、コーチがフィジカルトレーニングで厳しく追い込んでくれるでしょう。彼は指導者の経験がありませんが、そういったフィジカルトレーナー、コーチングもできますし、いい練習相手にもなる。精神的な支えにもなるので"ひとり4役"ですね」

――コーチと共に再出発を図る中で、8月29日にはTリーグの2年目のシーズンが開幕します。昨シーズンは木下マイスター東京でリーグの初代王者となりましたが、振り返っていかがですか?

「開幕戦とプレーオフファイナルは約5000人の観客動員があり、木下については普段の試合でも1000人を超える方が見に来てくれたので、すごくやりがいを感じました。一方で、地方会場では観客数が少ないこともありましたから、もっと興味を持ってもらえるように選手もいいプレーをしないといけない。他には、照明が暗かったり運営がうまくいかなかったりすることもありましたが、シーズン中に徐々にクリアしていきましたから、2年目はよりいいリーグになるんじゃないかと思っています」

――チームメイトとして戦った張本選手の印象は?

「張本とは年齢がひと回りくらい違うんですけど、自分に対しても遠慮はないです(笑)。本当に卓球が好きで一途。言い方は悪いかもしれませんが、それ以外はチャランポランというか(笑)、私生活で悩みを感じさせません。だからこそ卓球に集中できるんだと思います。プレーも成長していますけど、何より体が大きくなって筋肉がつき、世界で戦える体になってきたなと感じます」

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