Tリーグ初代王者争い。水谷と張本の壁は
高いが、岡山にも勝機あり

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 まさに、初代王者を占う首位攻防戦に相応しい大激戦だった。

 2月23日に東京・立川市で行なわれたノジマTリーグ男子の一戦は、勝点41で首位につけていた岡山リベッツと、勝点40で2位の木下マイスター東京が対戦する、まさに"天王山"だった。

 岡山にとってはレギュラーシーズン最終戦だったため、負ければその時点で2位に転落。一方の木下は、勝てばシーズン逆転首位が決定する。ここまでの対戦成績は3勝3敗。3月17日のプレーオフ・ファイナル進出を決めていた両チームにとって、その前哨戦の意味合いを持つ試合でもあった。

 だが、第1マッチのダブルスから両者ともに予想外のペアを組んできた。

 岡山は森薗政崇とリーグ初出場の三部航平を送り出し、一方の木下は水谷隼を起用せず、張本智和と大島祐哉のコンビが出場。岡山といえば森薗と上田仁の"最強ペア"がお馴染みではあるが、同チームの白神宏佑監督は「ファイナルを視野に、シングルスに上田を使ったときのことを考えての起用だった」と、ペア変更の理由を説明した。

ダブルスで圧倒的な強さを誇る、岡山の森園ダブルスで圧倒的な強さを誇る、岡山の森園 それでも、リーグ屈指の岡山のダブルスの強さは変わらなかった。1ゲーム目はお互い探り合うような出だしだったが、岡山ペアはここから一気にエンジンをかける。森園が積極的に強烈なドライブを仕掛けて流れを作り、6連続得点もあって11-7でそのゲームを奪取した。


 2ゲーム目は木下ペアも応戦し、中盤から激しいラリーの応酬。その均衡を破ったのは、やはり"ダブルスのスペシャリスト"である森園だった。張本、大島が繰り出すチキータに反応してカウンターを叩き込み、ラリーを制する展開を多く作って2-0で完勝した。

 このプレーについて森園は、「シングルスでは苦手なプレーなんですけど、出場する機会が増えたダブルスの試合のなかで克服することができました。チキータへの対応が僕のウィークポイントだったんですが、今ではむしろ相手にチキータをさせて、そのボールを押し込むという戦術を多用できています」と自信をのぞかせた。

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