Tリーグで見せたみごとな修正力。14歳木原美悠の成長が止まらない (2ページ目)

  • 小川勝●文 text by Ogawa Masaru
  • photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

 木原は14歳だが、身長は163センチで、日本のトップクラスの選手のなかでは比較的リーチは長い。大きくスイングしたときには、強烈なボールを打つことができる能力を持っている一方で、伊藤美誠が見せるようなフォアからの速いスイングで、強烈なスマッシュも打つことができる。蒋との対戦でも、第2ゲームから、フォアのスマッシュが随所で決まった。第2ゲームは11-6で奪った。

 第3ゲームでは、やはり伊藤がよく見せる、バックの面でボールを軽く当てて、ラリーのなかでコースを大きく変化させるプレーなど、さまざまなショットが蒋のペースを乱すことにつながった。第3ゲームは11-7で取った。

 第4ゲームは、速いロングサーブによるエース、バックのラリーでのコースの打ち分けと、木原がペースをつかんだゲームになって、11-6で取って、ゲームカウント3-1で勝利した。

 第1ゲームを取られたあと、適切に対策を取ってペースを自分のものにした木原は、石川、伊藤、平野という日本を代表する3人と戦えるレベルに向かって、着実にステップアップしていると言えそうだ。

 木原はフォアの面に裏ソフトのラバー、バックの面には、表面がざらざらの表ソフトのラバーを貼っている。表ソフトのラバーは、ボールに強い回転をかけようとしても、かかりにくい代わりに、相手が強い回転のボールを打ってきたとき、回転の影響をあまり受けないで打ち返すことができるため、相手のサーブをレシーブする場合などは、返しやすくなる傾向にある。

 表ソフトのラバーをバックの面に貼っている選手は、世界のトップクラスのなかでは少数派であるため、木原としては、自分と同じラバーの選手と対戦する機会はあまりないわけだ。だが、蒋は木原と同じく、バックの面に表ソフトを貼っている選手だった。

 裏ソフトと表ソフトでは、ボールの速さが違ってくるということで、蒋がバックで打ってくるボールに対して、タイミングを合わせにくい面があって、適応するまでは少し時間がかかったようだ。世界の舞台で、さまざまなタイプと戦っていくうえで、貴重な対戦経験になったと言える。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る