Tリーグが波乱の幕開け。次々と浮かぶ課題にどう向き合っていくか (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 今回のように主力級の選手が出場すると、好ゲームが続く。だが今後、主力選手が世界ツアーなどで留守になった場合、そこをどう穴埋めしていくのか。「イニエスタを見たかったのに......」とサッカーではその選手見たさでチケットを買っても出場せず、ガッカリということがあるが、そうならないように中間層の選手の踏ん張りがこれからは必要になるだろう。
 
 コート上の熱い試合とは裏腹に、会場は満員にならなかった。

 4万円のマス席は空席のためか横になって見ている人がおり、2階席も空席が目立った。10万円のスーパープレミアムシートは完売したようだが、それはご祝儀的な意味合いが大きい。これからのリーグ戦でどのくらい集客できるのか。各チームの興行力、営業力が試されることになる。

 また、ハーフタイムは10分間あったが、特別な演出は何もなかった。貴重な時間だが何もなしというのは、ファンサービスという観点から果たしてどうなのか。場内も暗転したままでトレイなどにいった観客は戻ってくる際、席が見えにくく、大変そうだった。

 さらに、メディアにいる側から言わせてもらうと、試合後のミックスゾーンの仕切りは正直ひどかった。関係者が声かけしてミックスを統制していたが、ペンとスチールとENGが入り乱れていた。ミックスはペン、ENGとエリアを分けるべきだし、スチールを入れるならその専門エリアをつくるか、先に撮影を済ませてペンやENGを入れるべきだ。

 選手対応も出場した選手を4人並べていたが、質問された選手以外は時間を持て余すだけ。個別に対応してもらうか、全日本卓球選手権大会のように柵をつくり、選手をミックスゾーンに流していけばいいのではないか。それから試合後の公式会見は監督だけで十分。選手が同席してもミックスでまた同じことを聞かれるので必要ないと思う。

 とはいえ、両国国技館をあとにする多くのファンの表情は満足げだった。

「卓球を国技と言えるようにしたい」

 松下チェアマンの壮大な夢を現実にするため、最初の一歩を踏み出した。まだ、いろんな面で粗さが目立つが、Tリーグがこれからどんどんよくなる方向に変化していくことを期待したい。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る