美咲、政崇、美月。森薗家はあの日以来の衝撃をTリーグで残せるか (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 千葉格、西村尚己●写真 photo by Chiba Itaru,Naoki/AFLO SPORT

2017年の世界選手権では男子ダブルスで決勝進出の経験を持つ森薗政崇2017年の世界選手権では男子ダブルスで決勝進出の経験を持つ森薗政崇 普段、それぞれがそれぞれのことをこんな風に思い、顔を合わせているのに不思議なことに卓球の話や将来のビジョンについては話をしない。姉弟や従妹であれば、なんでも話し合えそうだが、意外とそうではないと政崇は言う。

「姉がいて、美月とは従妹という関係ですけど、みんなスポーツ選手じゃないですか。スポーツ選手にとって自分の目指すところって意外とデリケートなもんなんです。だから、あえて聞かないし、聞いてもこない。それぞれが頑張っているのはわかっているんで、それをお互いに静かに見守るって感じですね」

 それが森薗家に浸透する深い愛情であり、絆なのである。

 政崇は、ドイツのブンデスリーガでのプロ経験はあるが、日本で始まるプロリーグを楽しみにしている。

「Tリーグはドイツよりも相当レベルが高いですね。強い相手と日本のファンの前で試合ができるのはスポーツ選手として大きな喜び。初年度ですから爪痕を残したいです。プレーオフに進出して、優勝したい。そうして東京五輪の選考の日まで自分の卓球人生を賭けて頑張っていきたいですね」

 政崇のスタイルは独特だ。非常に低く構え、台の上には鋭い両目だけが出ている。まるで水中に沈んで獲物を待つクロコダイルのような姿勢から、右腕よりもひと回り以上太い左腕で攻撃的な卓球を見せてくれる。

 美月は、美咲と対戦する可能性が高い。ふたりの最初の対決は、美月がサンリツで美咲が日立化成にいた時で、団体戦で衝突し、4番目に対戦した。

「美咲ちゃんと対戦が決まった時、どういう気持ちでやればいいのかなって思ったんですけど、台に入ったら冷静に戦うことができました。Tリーグでの対戦も、楽しみです。美咲ちゃんとの試合は、勝負が簡単につくんです。パパーンって勝つか、負けるかって感じ。美咲ちゃんとの試合も他の試合でも自分の振り切る卓球、攻める卓球で卓球を知らない人が『おぁー』って思うようなプレーをしたいですね」

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