2018.10.25

美咲、政崇、美月。森薗家は
あの日以来の衝撃をTリーグで残せるか

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 千葉格、西村尚己●写真 photo by Chiba Itaru,Naoki/AFLO SPORT

日立化成を離れ、TリーグのTOP名古屋のプロとして契約した森薗美咲 3回戦で韓国と戦って敗れたが、美咲は試合そのものよりも政崇とのコンビで考えさせられることが多かったという。

「政崇は全日本の混合で優勝していますし、実績があります。そういう選手と組む場合、身内ですけど、緊張します。ダブルスがうまい選手なので、どうやってその力を生かしていこうかと、すごく考えました」

 姉弟だからお互いに考えていることがよくわかる。混合ダブルスでも短時間で結果を出せると思うのは、こちらの短絡的な考えなのだろう。伊藤美誠と組み、全日本卓球選手権の混合ダブルスで日本一を取った政崇は弟ではあるが、チャンピオンである。その力を最大限に生かすことに苦心するのは、姉であっても同じだ。

 政崇も最初はやりづらかったと言う。

「これまで姉と組んだことは一度もなかったですね。最初はやりづらかったです。卓球は仕事なので、自分の感情とか関係ないんです。でも、姉と一緒の時は言いたいことが言えないとか、どんな距離感でボールを渡したり、サインを出せばいいのだろうって、いろんなことを考えて最初は難しかった。試合は姉が完璧な内容で、僕が今ひとつ距離感をつかめなくてよくなかったので、それが残念でした」

 優勝はできなかったが、美咲は政崇と組むことで弟のことがよく見えたという。

「一緒にダブルスを組んで、卓球に対する熱量とか、こんなことを考えているんだっていうのを理解できて、姉ですけど、すごく勉強になりました。弟だけど、尊敬できる選手だなってあらためて思いましたね」

 一方、美月は森薗姉弟が画面越しに活躍している姿を、微妙な気持ちで見ていた。

「アジア大会に美咲ちゃんと政崇が行っている。でも、私だけそこに行けていない。それに劣等感を抱いているわけじゃないですけど、ふたりを見て、私ももっとがんばろうって思いましたね。私のやり方でふたりに追いついて行ければいいかなって」

 その頃、美月は肉体改造を行なっていた。筋肉がつき、体幹が強くなって体が引き締まった。Tリーグを戦う準備を着々と進めていたのである。