日本生命レッドエルフ村上監督が熱弁「Tリーグを祭り後の受け皿に」 (3ページ目)

  • 城島充●文 text by Jojima Mitsuru
  • photo by Kyodo News

――日本生命レッドエルフの練習コートを見ると、早田選手や森選手といったトップ選手と同じコートで、小学生の女の子たちも練習していますね。

「あの子たちは来春から中学にあがって、体育館に併設されている寮で生活しながらこのコートで練習を続けます。今は他府県からスカウティングしていますが、地元でのジュニア育成の環境が整えば、将来は貝塚生まれの日本代表選手が誕生するかもしれません。トップの勝ち負けだけを意識するのではなく、育成システムの根っこのところからひっくり返していかないと、本当の意味で中国を越えることはできません」

――そうした展望の一方で、世間のTリーグに対する認知度が低いという指摘があります。

「確かにメディアへの情報発信も少ないようですし、参加チームとTリーグ機構との連携もスムーズとはいえない状況かもしれません。開幕してからも、いろんな形で壁にぶち当たることもあるでしょう。でも、1年目にダメだったところがわかれば、次から変えていけばいい。そのあたりは臨機応変に対応すればいいと思います」

――世間が最も注目する東京五輪の代表選考は、ワールドツアーの獲得ポイントによる世界ランキングをもとに決められます。Tリーグでの成績がまったく反映されないことも、新しいリーグの求心力を弱めているような気がします。

「代表選考についても、2024年のパリ五輪から見直しも含めて検討していくべきだと思っています。中国は国内の超級リーグでの成績が選考基準の1つで、ナショナルチームに入っている選手は1チームに2人までしか所属できない規定もある。個人的には、国内リーグでの成績を選考基準のひとつに入れるべきだと思います。選手たちはプロになってもお金だけを求めるわけではありませんから」

――新たな歴史の1ページ目となる開幕試合ですが、舞台は両国国技館です。試合前のセレモニーを含めた演出にも注目している人は多いと思います。

「私自身もサプライズ的な演出を楽しみにしています。これまでの体験でいえば、2013年にパリで開催された世界選手権の男子シングルス決勝の前に行なわれたエキジビションマッチがすごく印象的でした。地元フランスのジャン=フィリップ・ガシアンとジャン=ミッシェル・セイブが登場し、20年前の1993年世界選手権の決勝を再現したんです。あのときの感動を超えるような演出を期待していますし、両国国技館で卓球の魅力がつまった素晴らしい時間を多くの人と共有したいですね」

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