森薗美咲、政崇、美月の壮絶卓球人生。「父は星一徹のように厳しかった」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 千葉格●写真 photo by Chiba Itaru

 3人のなかで突出した活躍を見せていた政崇が言う。

「中学の時の自分は、姉を追うという考えはなかったですね。男子と女子では違うし、戦う場所もプレースタイルも違う。青森山田にはひとつ上に丹羽孝希さん、町飛鳥さん、吉田正巳さんらがいてレギュラー争いが熾烈でした。そこでレギュラーを勝ち取ると日本一が見えていた状況だったので、とにかく必死でしたね。自分の環境で戦うのに」

 美月は1年でJOCアカデミーを辞めて愛媛に帰り、中学を卒業後、四天王寺高校(大阪)に進学した。その頃、美咲は日立化成に加入し、社会人の選手として第一歩を踏み出していた。政崇は、青森山田高校でさらに成長し、2013年には全日本卓球選手権ジュニアの部シングルスで優勝するなど、目覚ましい活躍を遂げていた。

 森薗家が俄然、注目を浴びたのは、平成26年度の全日本卓球選手権である。

 美咲、政崇、美月の3名とも種目は異なるが決勝に進出したのだ。

 先頭打者は、美月だった。阿部愛莉とダブルスを組み、石川佳純&平野早矢香と女子ダブルス決勝で対戦した。その試合を観ていた政崇は、「えぐい試合をしていた」と美月らの健闘に驚いたという。しかし、激戦の末、3-2で敗れて準優勝に終わった。

 続いて登場したのが、政崇だ。三部航平とのコンビで水谷準&岸川聖也と男子ダブルス決勝で戦った。前年の決勝に続き、同じ組み合わせでの対戦になったが、政崇たちは3-0で相手を一蹴した。見事、優勝し、連覇を達成したのである。

 そして、しんがりは女子シングルスの決勝だ。

 女王・石川佳純と美咲の対戦になったが、4-1で敗れ、準優勝になった。

 この3人の決勝進出、目覚ましい活躍は卓球界を席巻。「森薗家、大フィ―バー」と大々的に報道され、森薗家に一気に注目が集まった。

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