2018.10.20

「打倒中国」を果たすために。
松下浩二が語るTリーグのでっかい使命

  • 城島充●文 text by Jojima Mitsuru
  • photo by Tamura Sho/AFLO SPORTS

――育成、普及という面ではどんなビジョンを描いていますか。

「Tリーグへの参入条件のひとつとして、2年以内に6歳以下のジュニア育成チームを作ることを義務づけました。10代で全日本のシングルスを制し、中国を脅かす存在になった伊藤美誠や平野美宇たちの強さは、そもそも特別な環境のなかで育まれたものです。幼い頃から卓球に打ち込める環境があり、両親や専属コーチたちの献身的なバックアップがあったからこそ、高いレベルで卓球に打ち込むことができた。

 しかし、このままだと、日本の卓球界は一部の特別な環境にいる才能だけに頼ることになる。Tリーグでのジュニア育成チームができれば、両親が卓球とまったく縁がなくても、才能のある子を見いだし、充実した環境を提供することができます。そしてそうした試みで指導者の需要が生まれ、トップ選手たちのセカンドキャリアにつながるし、さまざまな分野で卓球を仕事にできる人が増える。つまり、卓球業界における”生態系”のようなものをしっかりと作ることができれば、卓球業界全体が活性化されるし、競技全体のレベルも必ずあがっていくはずです」

――強化と育成、普及がひとつの線でつながっていくのですね。

「すべてのコンセプトを連携させることが重要だと思っています。日本の卓球界は下部組織がしっかりとしていて、大なり小なり都道府県や市区町村にたくさんのリーグが存在しています。なかったのはその上のプロリーグや、T1・T2といったトップリーグだったんです。それを2025年を目標に作り上げ、現在ある都道府県リーグなどと連携して大きくしていきたいと思っています。3歳から100歳まで誰でも気軽にできるのが卓球のメリットですから、卓球を楽しむすべての競技者がひとつのピラミッドの中でプレーできるのが理想ですね」

――失礼な言い方ですが、開幕を目前に控えた今も、世間のTリーグに対する認知度は決して高くないように思えます。強化の話とも重なりますが、先行するサッカーやバスケットボールが競技としての低迷期にプロリーグを立ち上げたのと違い、現在の卓球人気、卓球という競技に対する追い風が、逆にTリーグの求心力を弱めているような気もします。

「そうした指摘を受けることが多いのは事実です。確かにメディアへの情報発信を含め、世間への認知度という点では、僕自身反省するところが大いにあります。プロのリーグを立ち上げる重要性や必要性の説明にもっと時間を使うべきだったかもしれません。