Tリーグ開幕直前。日本卓球リーグの
参加チームとルールを総予習

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

Tリーグに参戦する男女8チームTリーグに参戦する男女8チーム 一方の女子で強力なメンバーを揃えているのが、木下アビエル神奈川日本生命レッドエルフだ。

 木下は、10月上旬に参戦を表明した石川佳純が加入したことで戦力に厚みが出た。その石川から刺激を受け、2016年の世界選手権で銀メダルを獲得した20歳の"卓球美少女"浜本由惟、今年の世界選手権に選出された15歳の長崎美柚、さらに張本の妹で現在小学4年生の美和とも契約して話題を集めている。

 日本生命の主力は、2017年に中国のトップ3を倒してアジア女王に輝いた平野と、長身を生かしたパワーが魅力の早田ひなの"日本代表コンビ"になる。チームを率いるのは、2016年リオ五輪まで8年にわたり女子代表の監督を務めた村上恭和氏。五輪で2大会連続のメダルを獲得した手腕を、Tリーグでも存分に発揮してくれるだろう。

 木下と両国での開幕戦を戦うTOP名古屋は、ルーマニアの実力者であるエリザベタ・サマラや、フォアドライブが強烈な世界ランキング8位のチェン・イーチン(台湾)など海外勢がチームを引っ張る。日本ペイントマレッツも、「みうみま」コンビと共に"黄金世代"のひとりに数えられる19歳の加藤美優、2人の兄とともにTリーガーになった松平志穂、日本生命から移籍した田代早紀ら実力者に加え、開幕直前になって2012年ロンドン五輪女子シングルス銅メダリストで世界ランク最高2位のフォェン・ティエンウエイ(シンガポール)の参戦が伝えられている。

 今回、伊藤美誠は悩んだ末にTリーグ参戦を見送った。日本代表に選ばれるためには、ワールドツアーでポイントを獲得し、世界ランキングを上げる必要がある。Tリーグも、もっとも成績のよかった選手は世界選手権の代表候補になる規定は組み込んであるものの、五輪の選考に関わるポイントなどは得られない。東京五輪でのメダル獲得に重点を置く伊藤は、苦渋の選択をしたことになる。

 代表選考基準との関わりだけでなく、木下アビエル神奈川に加入した袁雪嬌(えん・せつきょう)以外の中国人選手の参戦が見送られるなど、Tリーグの松下浩二チェアマンが目指す「世界一のプロリーグ」になるための課題は残されている。それでも、リーグが始まってから露見するであろう改善点を生かしてブラッシュアップし、何より、選手がレベルの高いプレーを見せてくれることでリーグの価値は高まっていくはずだ。

 日本卓球界の未来を担うTリーグは、選手たちが織り成す熱戦だけでなく、リーグの成長にも注目して楽しんでほしい。

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