吉村真晴が語る「Tリーグ開幕で変わる日本卓球界の未来」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

―― 子どもの頃は、相当スパルタ的な指導を受けたと聞いています。

「いやーもう半端なかったですね(苦笑)。練習でボコボコにされて、いつも泣いていました。練習が終わっても帰りの車のなかで反省会で、なんか泣いていた記憶しかないですね。試合でも負けたら父が怖いんで泣きながらやっていたし、ミスったらジャンプして悔しがって泣いて、もう感情をモロぶつけで卓球していました」

―― 感情をコントロールできなかった。

「子どもの頃は、そうでした。その後も負けている試合を捨てるじゃないですけど、雑になって負けたりして、こんなんじゃダメだろうっていう試合があったんです。でも、大学2年の時、ドイツのブンデスリーガに行って変わりましたね」

―― 具体的にどのように変わったのでしょうか。

「ブンデスリーガはみんなプロですごく意識が高いんですが、練習中アツくなってキレる選手もいるんです。でも、そういう選手が試合では我慢して冷静に戦っているんですよ。1本1本に集中し、我慢して戦うことが勝利につながるのを間近で見て、これは本気で卓球と向き合わないといけないなって思いました。それからトップ選手の生活、食事や練習が気になって、マネしていくなかで意識を高く持って戦うことの重要性を学び、卓球のスタイルも我慢強く戦うのを覚えてスペインオープン(2015年)で初優勝することができたんです」

 その後、吉村は世界ランキングを上げていき、リオ五輪の代表に選出された。リオ五輪の団体戦に出場し、銀メダルを獲得した。

―― リオ五輪では団体戦を経験し、Tリーグも団体戦です。団体戦は特別ですか。

「特別ですね。シングルスと違う独特の緊張感、うれしさがあるんです。それにとっても感動しますね。自分が負けてもみんなが引っ張ってくれているのをみると、なんか泣けてくるんですよ。『ありがと~水谷さ~ん』ってなるんです。普段はライバルだけど、団体の時はチームで一緒にやれるのがすごく楽しいですね」

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