主将・張本智和もビックリ?逆風下のアルゼンチンでユース五輪開幕 (2ページ目)

  • 三村高之●文・写真 text & photo by Mimura Takayuki

 その選手村は、大会後にマンションとして格安で販売されることになっており、すでに予約は殺到している。市長は、「市内で最も開発の遅れている地域に多くの新しい住民が入ることで、そこは活性化され発展していく」と、大会の副産物について強調している。治安面を考慮し、選手村の前には警察署も新設した。

 アルゼンチン五輪委員会のヘラルド・ウェルツェイン会長は、「この大会のために造った世界基準の競技施設は、今後、アルゼンチンの選手が試合や練習で使用するので、選手の育成に役立つ。多くのアルゼンチン人が世界規模の大会で活躍すれば、彼らに憧れてスポーツに情熱を傾ける子供が増える。社会問題である少年の飲酒、喫煙、薬物使用の対策に効果的なのは、彼らをスポーツに導くことだ」と、五輪効果にも触れて"無駄遣い説"に対抗している。

 この大会で、「五輪史上初の試みだ」と市長が胸を張るのは、開会式を街中で行なったことだ。「これまでの開会式はスタジアムで行なわれ、高い入場料を払わなければ観ることができなかった。しかしここでは、市民誰もが無料で観ることができる」と、画期的で開かれた五輪であることをアピールした。

 独立記念日の名を冠した市内を南北に貫くヌエベ・デ・フリオ(7月9日)大通り。4本の大通りとバスレーン、緑地帯で構成される道路の総幅は120メートル以上あり、歩行者は一度の青信号では渡り切れないことで有名だ。この通りとコリエンテス大通りが交差したところにそびえ立つのが、街のシンボルとなっているオベリスコ(英語ではオベリスク)。ボカが優勝すればボカファンが、リーベルプレートが優勝すればリーベルファンが、ここに集まって喜びを分かち合う。開会式はここを中心に行なわれた。

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