ライバル選手がチームを組む難しさ。世界卓球で見えた日本男子の課題 (2ページ目)

  • 城島充●文 text by Jojima Mitsuru
  • photo by Chiba Itaru/AFLO

 試合後、倉嶋監督は「張本を3番に置いて、丹羽を2点使いにするか、最後まで迷ってしまった」と明かし、丹羽も「直前まで僕が2番手で出ると思っていたけど、(オーダーが)変わって、智和も僕も心の準備ができなかった」と戸惑いを口にした。

 だが、このオーダーの変更だけが敗因だったとは思えない。選手たちに走った動揺を、チームとしてカバーする力がなかった現実を直視するべきだ。

 決勝トーナメント準々決勝の韓国戦でも同じことが繰り返された。

「自分が勝って(5番手の)張本に繋げば勝ってくれると思ったが、繋げなくて本当に申し訳ない。自分がもっと強くなっていく必要がある」(水谷)

「競り合いで落としたところがダメだった。勝てなくて悔しい。どんな選手がきても勝てるようになりたい」(張本)

 韓国に1-3で敗れたあと、2人のエースは共に自らの責任に言及したが、チームとしての問題点はどこにあったのか。

 勝敗の分岐点は、水谷の奮闘で1-1のタイに持ち込んだあとの第3試合だった。

 韓国側からみれば、エースの李尚洙(イ・サンス)が水谷に敗れた時点で流れを日本に渡してもおかしくなかったが、3番手の張禹珍(ジャン・ウジン)は世界ランキングが上位の松平を常に受け身に回らせた。「日本にひと泡吹かせてやる」という強い気持ちは、エースが負けても揺らぐことがなかったのである。

 追い詰められたとき、コートに立つ選手を支えるチーム力が韓国にはあり、日本にはなかったと言い切るのは酷かもしれない。それでも、松平が勝負のポイントでリスクを犯してでも攻めるプレーができなかったのは、彼の背中をチームとして支える「何か」が足りなかったということだろう。

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