【卓球】松下浩二が提言。「今こそプロリーグを設立すべき時期」 (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by JMPA

 ただ今後、水谷選手が世界チャンピオンになる可能性も十分にあります。リオ五輪で水谷選手は、シングルスの準決勝で馬龍(マ・リュウ/中国)に敗れました。これは、中国人選手との対戦経験が少ないため、馬龍の打球に慣れるまでにかなりの時間を要したことが敗因のひとつです。

 中国人選手は日々、レベルの高い選手にもまれて切磋琢磨しています。日本人選手もレベルアップするためには、そういった厳しい状況に身を置く必要があり、自国にレベルの高いプロリーグがないのであれば、中国ナショナルクラスの選手がプレーする中国超級リーグに参戦する必要などがあると思います。

―― 育成という面では、有望な若手の多い日本もかなり成功しているように思えるのですが?

松下 伊藤美誠選手は関西卓球アカデミー所属の選手で、平野美宇選手、浜本由惟選手などはJOCエリートアカデミーの選手です。女子選手の育成は、成功していると思います。ただ、才能がある選手を少数精鋭で鍛えるだけでは、将来的に限界があります。ずば抜けて能力の高い選手がいる時代は好成績が残せるものの、その選手が引退したら低迷してしまう。

 それこそ、リオ五輪での日本男子の好成績は、水谷選手に頼った部分が大きい。その水谷選手も、東京五輪では30歳を超えます。我々は、「水谷後の日本卓球」も考えなくてはいけません。そのためには中国のように、選手の才能だけに頼るのではなく、選手にとってよりよい環境を整備するべきだと思います。

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