卓球日本男子がとらえた中国の背中。「4年後の金も夢じゃない」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

 許昕は、いわゆる"BIG4"と呼ばれる中国人選手の強豪のひとりだ。

「"BIG4"と言われている4人に、僕は過去0勝40敗くらいしています。この10何年間、一度も勝ったことない。この五輪という最高の舞台の、しかも決勝戦で勝てたことは、メダル以上の価値があったのではないかと思います」

 続く第3試合はダブルス。水谷の勢いに乗せられた丹羽・吉村真晴ペアは第1ゲームを先取する。日本男子の倉嶋洋介監督は、このダブルスが勝敗のカギを握ると考えていた。水谷でなんとか2勝し、ダブルスで1勝。それしか勝算はないと踏んでいた。目論見通りに水谷が1勝し、ダブルスでも1ゲームを先取。理想の展開だった。

 日本の応援団から大番狂わせを期待する歓声が、会場に響き渡った。

 一方、中国人の応援団も、大会期間中、一番の声量で「加油(ジィアヨー/頑張れの意味)」コール。日本を相手に、まさかのリードを許す展開に、当たり前に金メダルを期待していた中国のファンは、苛立ちを隠せないでいた。

 2試合連続の大金星が期待されたが、丹羽・吉村ペアは、ギアを入れ替えたような中国ペアの猛攻をしのげず、ゲームカウント1-3で落としてしまう。中国人ペアのボールの回転量が目に見えて増え、力強いスマッシュに反応できなかった。

 そして第4試合も、吉村が今大会のシングルス金メダリストである馬龍に簡単にストレート負けを喫し、日本は銀メダルに終わった。

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