銅メダルの水谷隼、団体戦へ「中国を倒すために努力している」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

「試合前は、中国人選手に序盤からリードされると、勝機が見えないと思っていました。なんとか1−1とか、2−1で乗り切りたかったんですけど......。ただ、0−3となって吹っ切れました」

 第3ゲームまでは、馬龍のロングボールに対し、水谷は山なりのボールで返し、それを狙い打たれていた。そこでストレート系のボールに戦術を変更すると、馬龍のカウンターが威力を失った。水谷は第4ゲームを11−7で取り返す。

「勝てると思いました」

 これまでに中国人選手に対してそう思った経験は何度もあるが、馬龍に対しては初めて抱いた感情だった。これまでの対戦に比べ、馬龍は緊張しているのか、動きが硬かった。デュースまでもつれ込んだ第5ゲームも水谷が12−10で制す。次第に水谷が咆哮する機会が増えていった。大番狂わせの期待が高まった。続く第6ゲーム──

「2−3から、馬龍のバックに横回転系のロングサーブを初めて出したんです。ところがそれを強く打ち返され、得点になってしまった。ずっと自分が小さくサーブを出していて、相手が前のめりになっていたので、ここで不意をつくロングサーブを打てば効くんじゃないかと思って出したんですけど、あまりにも技術の精度が低すぎたと思います。狙いはよかったんですが......。そのまま一気に2−7にまで持って行かれて。第6ゲームまでもつれて、馬龍も吹っ切れたんだと思います」

 このゲームを落とし、水谷は3位決定戦に回ることになった。しかし、絶対王者を相手にゲームカウント2−4の惜敗は、敗北というより、大善戦である。

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