福原愛が喫した2つの敗北は、団体戦への試金石となる! (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

 完敗であるがゆえに、気持ちはすぐに3位決定戦に向かっていた。

「自分のミスで負けたのではなく、実力差で負けた。試合を振り返っても、自分ができることはすべてやったという自負がある。次の試合も、やるべきことはやったと思えるような試合に......」

 およそ10時間後に行なわれた3位決定戦は、3回戦で石川佳純にゲームカウント4-3で競り勝った世界ランキング50位のキム・インス(北朝鮮)だった。「かすみちゃん」と呼ぶ後輩のためにも、そしてシングルスにおいて男女を通じて初めてのメダルのためにも、負けられない一戦だった。

 しかし、キムは福原が苦手とするカットマン。そして、初対決。ワールドツアーなど国際大会への出場機会が少ない相手であるために、情報には乏しかった。準決勝からのインターバルの間、保持するキムの試合のビデオをすべて観た。

「(福原が4回戦で対戦した同じ北朝鮮の)リ・ミョンスン選手よりもパワーがあると聞いていたんですけど、実際に対戦してみて本当にパワーがあるな、と。同じ北朝鮮のカットマンといっても、タイプは違いました」

 キムは福原の強打を拾ってラリー戦に持ち込み、福原の返球が少しでも浮けば力強いスマッシュを狙ってくる。キムのボールの回転に対応できず、福原は第3ゲームまで落としてしまう。

「カットマンと対戦するときは、回転に慣れたりする必要があるので、そういった意味で、挽回勝ちをすること多い。ちょっと序盤は焦りすぎてしまったかなと思ったんですけど、カットマンとやる上では、(強打がアウトになったり、ネットにかかったり)そういったミスを繰り返しながら、回転とかがわかってくる。もっと早く回転が読めるようになっていたら違った展開になったかもしれない」

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