【ハンドボール】土井杏利「猛練習で失神。救急車で運ばれました」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 洞澤佐智子●写真 photo by Horasawa Sachiko

 合宿など、ある期間、厳しい練習で心身を鍛えるのは悪いことではない。土井自身、「肉体的に本当につらかったけど、ハンドボールが大好きだから、それを楽しんでいたし、精神力も鍛えられてよかった」と言っている。だが、日本の運動部などの練習が年間を通して前近代的で、それがいかに日本のハンドボ-ルの成長を妨げているか。それを理解できたのは、土井がフランス強豪シャンベリ-でプレ-するようになってからだという。

「フランスは日本とは真逆な考えですね。フランスでは1日、90分ぐらいしか練習をしません。疲れて50%の体力で練習しても身にならない。いいコンディションで練習してこそ学ぶことができるという考えです。
 練習内容も全然違う。日本では『自分たちのプレ-をやっていれば負けない』という考えの下で毎日、同じ練習を繰り返している。でも、フランスは対戦する相手に合わせて戦術を考え、練習していきます。毎日、毎週、違う練習をしていくと選手の対応力が磨かれるので試合中に緊急事態が起きても対処できる。でも、日本は同じ練習ばかりしているんで臨機応変に戦えない。練習はル-ティンではなく、相手に勝つためにあるんです」

 フランスを含めた欧州の最先端の練習方法などを聞いていると、日本のハンドボ-ルは旧態依然のままだと感じてしまう。2020年には東京五輪が控えており、日本は結果を求められることになる。そのためには何が必要だと土井は考えているのだろうか。

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