【NFL】シーズン開幕。QBで占う今季の勝ち組・負け組 (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka photo by AFLO

 NFLの歴史を振り返っても、スーパーボウルを制してきたQBの多くはポケットパサーである。イーグルスの指揮を執り始めて2年目となるチップ・ケリーHC(ヘッドコーチ)は、独特の速いテンポのオフェンスが魅力。選手の戦術理解度が深まった今シーズン、大きく飛躍する可能性は十分にある。イーグルスの所属するNFC東地区は本命不在と言われているので、レギュラーシーズン16試合で10勝以上挙げれば、地区優勝も射程圏内だ。前出のエリートQB4人(ブレイディ、マニング、ロジャース、ブリーズ)もポケットパサーであることから、QBフォールズ率いるイーグルスには注目しておきたい。

 一方、中堅どころのQBを抱えるチームは、総じて厳しいシーズンになるかもしれない。2006年と2010年のスーパーボウルを制したベン・ロスリスバーガー(32歳/ピッツバーグ・スティーラーズ/AFC北地区)、プロボウル5度選出のフィリップ・リバース(33歳/サンディエゴ・チャージャーズ/AFC西地区)、スーパーボウルMVPに2度(2008年・2010年)輝いたイーライ・マニング(33歳/ニューヨーク・ジャイアンツ/NFC東地区)、2013年のスーバーボウルを制覇したジョー・フラッコ(29歳/ボルチモア・レイブンズ/AFC北地区)など30歳前後の彼らは、個の力でチームを勝たせる力量が残っているとは言いがたい。プレイオフに進出できなければ、見切りをつけられる分起点となるかもしれない。

 また、開幕前に何かと注目の集まるルーキーQBも、1年目からの飛躍は難しそうだ。史上初めて大学1年生でハイズマン賞(※)を受賞するなど、華々しい経歴でNFL入りしたジョニー・マンゼル(21歳/クリーブランド・ブラウンズ/AFC北地区)は、「ワークエシック(労働倫理)に欠けている」との悪評があり、大きな期待はできない。ドラフト全体3番目でジャクソンビル・ジャガーズ(AFC南地区)に入団したブレイク・ボートルズ(22歳)のほうが、「サイズのあるポケットパサー」と高く評価されている。ただ、1年目のボートルズがいきなりジャガーズをプレイオフまで導くのは、相当厳しいだろう。

※ハイズマン賞=毎年、大学アメリカンフットボール界で最も活躍した選手に与えられる最優秀選手賞。

 2014年シーズンのスーパーボウルは、アリゾナ州グランデールにて行なわれる。砂漠に囲まれたこの地までチームを導くことのできる司令塔は、エリートQBか、あるいは……。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る