【NFL】「攻撃1位vs守備1位」対決。スーパーボウルを制するのは? (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 しかし、気になるデータがひとつある。レギュラーシーズンでのブロンコスは、ディフェンスで上位15位(全32チーム)にランクされるチームとは3度しか対戦していないのだ(最上位はヒューストン・テキサンズの7位)。守備ランキング1位を誇るシーホークスのようなトップディフェンスと対峙して、ブロンコスは冷静にゲームを進められるのか、そこも焦点のひとつと言えよう。

 また、レギュラーシーズン中に興味深い試合があった。昨年11月24日に行なわれた第12週で、ニューイングランド・ペイトリオッツのホームに乗り込んだブロンコスが、延長の末に31対34で敗れたゲームだ。この試合の前半、ブロンコスは24-0の大量リードを築いていた。しかし後半、ペイトリオッツの逆襲を受け、大逆転で敗戦を喫したのである。

 ブロンコスはRBノーション・モレノのラン攻撃が好調で、マニングがパスを投げる機会はほとんどなかった。しかし、これがペイトリオッツの罠(わな)だったと、NFL専門家は語っている。ニューイングランドの寒いグラウンドで、長時間パスを投げさせないようにした結果、マニングの指先の感覚を奪ったと分析した。これが真実かどうかは別として、マニングのパス攻撃を揺さぶる作戦のひとつとしては面白い見方だろう。今年のスーパーボウルは史上初めて、寒冷地(ニュージャージー州)でありながらドームではなく外での試合となるので、同じような状況になる可能性も否定できない。

※ポジションの略称(RB=ランニングバック)

 現地メディアは、マニング擁するブロンコスを有利とする予想が多い。その理由は、両チームの経験の差だ。シーホークスのスーパーボウル経験者はゼロで、チームを率いるQBラッセル・ウィルソンはNFL2年目の25歳。ブロンコスの強力オフェンスを食い止めても、プレッシャーに負けて得点を奪うことができないのでは、という声がある。ただ、過去のスーパーボウルで「攻撃力1位vs守備力1位」が対戦したケースは4度あり、通算成績は守備力1位チームの3勝1敗。昨年も鉄壁のディフェンスを誇ったボルチモア・レイブンズが頂点を制したように、近年のスーパーボウルは守備の秀でたチームが勝つ傾向にある。果たして、5度目となる「攻撃力1位vs守備力1位」は、どちらに軍配が上がるのか――。近年のNFLらしい、非常に予想しづらいスーパーボウルである。

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