【NFL】今年のトレンドは「走るQB」。開幕する新シーズンの主役は誰だ?

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka photo by AFLO

 昨季流行した戦術のひとつに、「リードオプションプレイ」というのがある。これは、相手の守備ポジションによって、ボールをRB(ランニングバック)に渡すのか、QBがキープしたまま走るのか、状況次第で攻撃オプションを決めるランプレイのことだ。QBがケガを負う危険性が高いため、今までプロの世界ではあまり使われてこなかった。しかし、「投げられて走れる」彼らの出現によって、それが可能になり、一大センセーションを巻き起こしたのである。新世代QBが新たに確立した攻撃スタイルは、今後のNFLの歴史を大きく変える可能性を秘めている。

 そしてもうひとつ、今シーズン、NFLの歴史が新たに塗り替えられるかもしれない。その主役となりそうな選手とは、ミネソタ・バイキングスのRBエイドリアン・ピーターソンだ。昨季、2097ヤードを走ったピーターソンは、1984年にエリック・ディッカーソンが打ち立てたNFLシーズンラッシング記録(2105ヤード)に、あと8ヤードまで迫った。新シーズンの開幕を前に、「今季は2500ヤードを狙う」と気合い十分のコメントを残しており、昨季以上の活躍を見せれば、実に29年ぶりの新記録誕生となる。また、ピーターソンに注目が集まれば、2009年に史上6人目の2000ヤードランを達成したクリス・ジョンソン(テネシー・タイタンズ)も黙ってはいないだろう。このように複数の2000ヤードラッシャーが同じ時代に競い合うことはなかっただけに、RBというポジションも新たに変化しようとしているのかもしれない。

 今シーズン、48回目を迎えるスーパーボウルは、ニュージャージー州のメットライフ・スタジアムで開催される。ニューヨーク都市圏で行なわれる初めてのスーパーボウルとあって、例年以上に盛り上がるのは間違いない。そんな史上初の頂上決戦で主役の座を手に入れるのは、いったい誰なのか。2014年2月2日のスーパーボウルまで、興奮の5ヶ月がいよいよ始まろうとしている――。

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