【NFL】今年のトレンドは「走るQB」。開幕する新シーズンの主役は誰だ?

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka photo by AFLO

2013-14 NFL team list2013-14 NFL team list このように、NFLの大御所ふたりの意見が真っぷたつに分かれるほど、今年の戦力を分析するのは困難と言える。事実、今年の各メディアの優勝予想は、実にバラバラだ。上記のチーム以外にも、AFCからはピッツバーグ・パイレーツ(北地区)、シンシナティ・ベンガルズ(北地区)、ヒューストン・テキサンズ(南地区)などが挙がり、対するNFCからは、アトランタ・ファルコンズ(南地区)やグリーンベイ・パッカーズ(北地区)などもピックアップされている。

 ただ、各メディアがこぞって主張しているのは、「NFLが今、過渡期にある」という点だ。とりわけ顕著に、古いものから新しいものへと変化しようとしているのは、フットボールの花形である「QBのポジション」だという。その新世代QBの旗手たる選手とは、サンフランシスコ・49ersのコリン・キャパニック、ワシントン・レッドスキンズ(NFC東地区)のロバート・グリフィン3世、シアトル・シーホークスのラッセル・ウィルソン、そしてインディアナポリス・コルツ(AFC南地区)のアンドリュー・ラックだ。彼らには、共通項がある。それは、「パスが投げられて、しかも走れる」という点だ。

 NFLの歴史を振り返ると、マイケル・ヴィック(2001年~。現フィラデルフィア・イーグルス)や、ランドール・カニンガム(1985年~2001年。元フィラデルフィア・イーグルスなど)といった「走れるQB」は、過去にも存在している。しかし、新世代QBたちのプレイは、彼らと比べてみると、明らかにパスとランの質がいずれも高い。また、単に身体能力が際立っているだけなく、それらを生かすための知性や冷静さも兼ね備えている。それらは、かつての「走れるQB」に最も足らなかった点だ。よって彼ら新世代QBは、パスターゲットを探してやたらとボールを持ち続け、結果的にサックを受けたりすることが非常に少ない。ボールセキュリティの面で優れているのも、新世代QBならではの特徴と言えよう。

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