【NFL】スーパーボウル、レイブンズ対49ersは見どころ満載 (2ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Getty Images

design by Unno Satorudesign by Unno Satoru レイブンズは、守備の要であるレイ・ルイスとテレル・サッグスの両ラインバッカーを故障で欠き、攻撃を司(つかさど)るQBジョー・フラッコも十分なパフォーマンスを見せられないスタートを切った。そして昨年12月には、攻撃コーディネイターのキャム・キャメロンを解雇。コルツ前HCのジム・コールドウェルを招聘したものの、戦術がすぐに浸透するわけもなく、調子は上がらぬまま。レギュラーシーズン最後の5試合で4敗を喫し、地区優勝は果たしたものの、プレイオフでは早々に消え去るだろうと予想された。

 一方の49ersは、レギュラーシーズン途中まで順調に勝ち星を重ねるものの、エースQBのアレックス・スミスが負傷。第11週目のシカゴ・ベアーズ戦からプロ2年目のコリン・キャパニックが代役を務めることになった。その後、スミスがケガから復帰するも、チームはキャパニックを続投させることに。シーズン途中で「チームの司令塔を代える」というリスクの大きい決断に、不安視する声は次第に広がっていった。

 しかし、両チームはそんな周囲の声を吹き飛ばすように、プレイオフで快進撃を見せたのである。レイブンズはワイルドカードからの出場ながら、コルツ、さらにデンバー・ブロンコスを次々と撃破。そしてカンファレンス・チャンピオンシップでは、ペイトリオッツが誇るリーグ屈指の攻撃陣を封じ、昨年の雪辱を果たした。対する49ersも、キャパニックの身体能力を生かしたオフェンスが、予想以上にチームにフィット。勢いそのままに、スーパーボウルまで一気に駆け上がった。

 プレイオフに入って好調を維持しているレイブンズと49ers。スーパーボウルの勝者は、どちらになるのだろうか。戦前の予想では、攻守にわたってバランスの取れた49ersが有利とされており、ラスベガスのオッズもリードしている。

 今回、桧舞台に立つ両チームは、トム・ブレイディ(ペイトリオッツ)やマニング兄弟(兄・ペイトン/ブロンコス、弟・イーライ/ジャイアンツ)、そしてベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ)のようなスターQBを擁しているわけではない。ここ10年間で、上記4人の出場しないスーパーボウルは初めてのことである。しかし、それでも大きな関心と期待感をファンに抱かせるのは、スーパーボウルまで上り詰めた両チームの歩みが、あまりにもドラマチックだからだ。チーム崩壊の危機、昨季のリベンジ、そして兄弟対決......。今年の『ハーボウル』は、大いに盛り上がること間違いない。

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