【卓球】リオ五輪に向けて。福原愛、石川佳純に続く新戦力の台頭はあったのか? (3ページ目)

  • 小川勝●文 text by Ogawa Masaru
  • 戸村功臣/アフロスポーツ●photo by Tomura Atsushi/AFLO SPORT

 第5ゲームもまた3―11で落として、試合は第6ゲームへ。ここで松澤は、特長であるバックハンドから、回転の分かりにくい独特のサーブで石川を苦しめ、9-7とリードした。あと2ポイントで石川を破って決勝進出だったが、サーブレシーブに回ったときには石川の攻撃に対応できず、結局、そこから逆転負けしてしまった。石川のように、大きなスイングで相手を打ち抜く強烈な強打はないが、とにかく卓球台から離れず、素早いタイミングで打ち返す、いわゆる前陣速攻型だ。

 対戦した石川は「すごくバックハンドがうまいので、同じコースにばかり打ってしまった。相手のバックハンドで振られていたので、それが(サーブの)レシーブの時にもプレッシャーになって、レシーブがうまくできなかったです」と語っている。

 近藤欽司・前日本代表監督は「以前は自分でミスをしてしまうことが多かったが(今大会は)ミスが減った」と、成長ぶりを評価している。

 世界ランキングは119位で、国際試合での実績という意味では、石垣、森薗、谷岡の方が上だ。世界選手権の代表選考は、国際試合での実績も考慮されるため、初の代表入りがあるのかどうか、注目される。

 リオデジャネイロ五輪を見据えた若手という意味では、中学2年生になった浜本由唯(14歳/JOCエリートアカデミー)が、ジュニアの部(17歳以下)で初めて決勝に進出して準優勝を果たした。だが、福原も石川も、ジュニアの部では、中学2年生の時に優勝している。また年齢制限なしの一般の部においても、中学2年生までに、福原は8強、石川は4強進出を果たしている。浜本は今年32強で、北京五輪代表の福岡春菜(中国電力)に逆転で敗れている。福原、石川と肩を並べるところまではいかなくても、今大会でもうひとつハードルを越えてほしかった。

 年齢を考えずに、今大会全体から見れば、福原、石川以外で、最も安定した実力を見せたのは30歳になった藤井寛子(日本生命)だった。福原との準決勝は2―4で敗れたが、最後の第6ゲームを除いて大接戦だった。

 ロンドン五輪翌年の今年、リオデジャネイロ五輪を見据えて若手を抜擢するのか、まずは今年の世界選手権で勝てる可能性の高いベテランを選ぶのか。日本卓球協会・強化本部としても、悩ましいところだ。2月14日から始まる国際卓球連盟のワールドツアー「クウェート・オープン」の結果からも目が離せない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る