【NHL】ロックアウトが終結するも、4大プロスポーツの一角から脱落の危機? (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

「ゲイリー・ベットマンがコミッショナーとなってからの20年間で、実に3度目のロックアウトだ。その間、予定されていた全試合の10%が中止となっている。2004-05年シーズンのように、NHLは再び1シーズンを丸まる失う寸前まで迫っていた。これは、ファンとビジネスパートナーを疎(うと)んじる行為だ」

 今回のロックアウトを経て、今後、NHLの人気はどうなっていくのだろうか。あるいは、4大プロスポーツという枠組みから外れてしまう可能性もあるのだろうか。

 2000年になって人気低迷傾向を懸念したNHLは、ファンの目を引きつけんと工夫を凝らしてきた。屋外で行なわれる元日ゲームのウインタークラシックや、インターネットによる視聴環境の構築などの努力で、2003年以降は、収益およびプレイオフの視聴者数を伸ばしていたのである。実際、昨年のNHLの収益は33億ドル(約3140億円)で、過去最高額を計上している(もっとも、約8566億円のNFLや、約7138億円のMLB、約4759億円のNBAと比べると見劣りするが……)。

 しかし、今回の長期に渡るロックアウトの影響で、アイスホッケーが人気ナンバー1のカナダ国内や、ニューヨークやピッツバーグといったコアなファンを抱える地域以外の球団は、さらにファンを減らしてしまうのではないかというメディアの声も多い。4大プロスポーツから脱落する危機を回避すべく、NHLはこれまで以上に努力を重ねる必要があるだろう。

 今回合意した労使協定は、10年契約(8年目のシーズンが終わったあとで労使双方に破棄できる権利がある)。つまり、しばらくは今回のような泥沼の交渉劇を見なくても済むということだ。しかし8年後、もしくは10年後に再びロックアウトにでもなれば……。そのときは、NHLを「4大プロスポーツの一角」と呼ぶのは難しくなっているかもしれない。

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