【NFL】スーパーボウル進出チームが乗り越えた、それぞれの『壁』

  • 永塚和志●文 text Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

design by Unno Satorudesign by Unno Satoru 一方、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)では、第1シードのペイトリオッツが勝ち残った。よってこちらは「順当」と思われるかもしれない。しかし、彼らにも越えるべき『壁』は存在した。

 ペイトリオッツにとっての壁とは、レギュラーシーズンの好成績がフロックではないことを証明しなければならない、というプレッシャーだった。レギュラーシーズンで13勝(3敗)を挙げたものの、勝った相手はすべて今シーズン勝ち越していないチームばかり。また、圧倒的なオフェンス力とは対照的に、ディフェンス力(1試合平均喪失ヤード)は全32チーム中31位を記録。さらに近年は2年連続地区優勝を果たしながら、プレイオフで初戦敗退している事実も、周囲を懐疑的にさせていた。

 しかし、初戦のデンバー・ブロンコス戦で、エースQBのトム・ブレイディがその疑念を吹き飛ばす。プレイオフ記録に並ぶ1試合6タッチダウンパスを記録し、AFCチャンピオンシップに駒を進めた。だが、次なる相手は、ボルチモア・レイブンズ。シーズン8勝8敗のブロンコスとは違い、レイブンズはAFC北地区を12勝4敗で制した第2シードの強豪である。試合は拮抗した展開となった。

 そんな苦しい状況を打破したのが、不安視されていたディフェンス陣だ。フロント7(守備ラインとラインバッカー陣)がレイブンズQBジョー・フラッコにプレッシャーをかけ続け、ファーストダウン獲得を何度も阻止。そして、試合を決したのも、そのディフェンス陣だった。第4クォーター終盤、レイブンズがエンドゾーン前までボールを進め、フラッコがWRリー・エバンスにパスを通したかと思った瞬間、ペイトリオッツのCBスターリング・ムーアがエバンスの手からボールをかき出し、タッチダウンを阻んだのである。すると直後、レイブンズのキッカー、ビリー・カンディフが32ヤードの同点フィールドゴールを失敗。その結果、ペイトリオッツが劇的な形で勝利を収めたのである。

 肉体疲労を跳ね返し、持ち前の勝負強さで勝利を掴み取ったジャイアンツ。ディフェンス陣の奮闘で、不安の声を一掃したペイトリオッツ。両者はともに大きな『壁』を乗り越えて頂上決戦にやってきた。4年前のスーパーボウル決戦は、ジャイアンツがペイトリオッツを17-14で下したが、今年はどうなるのか。今から楽しみである。

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