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河村勇輝がブルズと2ウェイ契約「特別な存在になれる」と元NBAスモールPGが評価した3つの要素

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

サマーリーグでは試合を重ねるごとに持ち味を発揮した河村 photo by Getty Imagesサマーリーグでは試合を重ねるごとに持ち味を発揮した河村 photo by Getty Images

前編:河村勇輝がシカゴ・ブルズと2ウェイ契約を締結した理由

アメリカ挑戦2年目の幕を開けた河村勇輝は、NBAサマーリーグでの活躍が認められ、シカゴ・ブルズからNBAとGリーグを行き来できる2ウェイ契約を勝ち取ることができた。

河村の活躍は日々SNS等で発信され続けてきたが、「日本」という枠組みを外してもそのプレーが多くの人々を魅了している。その理由はどこにあるのか?

かつてNBAで183cmという低い身長ながらポイントガード(PG)として活躍し、この夏は解説者として河村のプレーを見届けたダレン・コリソンに話を聞いた。

【「プレーに対する情熱的な喜びがあり、見ている人を惹きつける」】

 河村勇輝がシカゴ・ブルズと2ウェイ契約を締結――。現地7月19日に届いたそのニュースは、バスケットボールファンを喜ばせた。それでも今年もラスベガスで行なわれたNBAサマーリーグでのプレーを見た者にとって、もう驚きではなかったはずだ。

 英語でいうところの"Inevitable(必然)"。ブルズの一員としての5試合で見せた河村のプレーは、それほど印象的なものだったからだ。

 サマーリーグではすべて途中出場ながら、平均10.2得点、6.2アシスト、2.2スティール。残したインパクトはその数字以上に大きかった。特に3戦目のインディアナ・ペイサーズ戦で15得点、10アシストのダブルダブル(2項目以上で2ケタ)をマークすると、4戦目のミルウォーキー・バックス戦でも第4クォーターだけで6アシストを挙げて逆転勝利に大きく貢献。さらに最終戦となったユタ・ジャズ戦では20得点、10アシストと大爆発し、ブルズが2連敗後に挙げた3連勝の立役者のひとりになった。

 試合を重ねるごとに新しいチームメイトとの呼吸も合いはじめ、ハイライトシーンを頻繁に生み出す"ファンタジスタ"ぶりはさすがとしか言いようがなかった。

 日本人の贔屓目抜きに、サマーリーグで最高級に輝いた選手だったといっていい。だとすれば、2ウェイ契約のゲットも当然。そう思ったのは、『NBA TV』でジャズ戦の解説者を務めたダレン・コリソンも同じだったようだ。

「ユウキはどのチームでも、自分の役割でしっかりインパクトを与えられる選手だと思う。あのサイズであれだけのプレーメイクができて、競争心が強いし、頭もいい。この3つの要素がそろっていれば、どんなチームでも特別な存在になれる。さっき彼がブルズと2ウェイ契約を結んだと聞いたばかりだけど、今後の活躍も楽しみだよ」

 コリソンは2019年まで10シーズンにわたってNBAでプレーし、すべてのシーズンで平均2ケタ得点をマークした堅実なフロアリーダーだった。派手なプレーよりもミスの少なさが魅力のポイントガード(PG)。2017~18シーズンにはリーグ1位の3P成功率46.8%とロングジャンパーも得意としていた。河村とは少々タイプが違ったものの、コリソンも身長183cmとサイズに恵まれていたわけではなかった。

 現在37歳の元司令塔は、自身以上にサイズ不足ではあっても、河村のプレーメイキング能力にはNBAでも十分にやっていけるだけのものを見出せるという。

「ユウキの一番の持ち味はプレーメイク力だと思う。それに加えて、プレーに対する情熱的な喜びみたいなものがあって、見ている人を惹きつける。彼のプレーはワクワクするんだ。普通のパスを出すんじゃなくて、ちょっとした工夫や遊び心を加えてくるし、それでファンが思わず立ち上がるような場面を作ってくれる。でもそれは、無理にカッコつけようとしているんじゃなくて、彼の自然なスタイルなんだよ」

 コリソンのそんな話を聞いて、もう河村のプレーに慣れ親しんだ日本のファンはすぐに納得するだろう。派手なノールックプレーやキラーパスもすべて流れのなかでやってのけるため、必要以上に目立とうとするものや、相手にとって侮辱的なスタンドプレーであるようには感じられない。そのアンセルフィッシュなパスワークは味方選手を鼓舞し、チーム全体に伝搬する影響力を備えているようにも見える。今回、ブルズから評価されたのもそういった部分に違いない。

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著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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