渡邊雄太×ホーバスHCの化学反応はいかに。アジアカップを「経験を積む場」にするつもりはない (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by (C)JBA

NBA選手も参加するのに...

 一方で、敗れても仕方なしといった事情もあった。

 日本は八村塁(ワシントン・ウィザーズ)や馬場雄大(昨季はGリーグのテキサス・レジェンズとオーストラリアNBLメルボルン・ユナイテッドでプレー)、田中大貴(アルバルク東京)ら、東京オリンピックの主力だった選手たちの大半を招集できておらず、ベストな陣容で臨んでこられなかったからだ。

 2023年ワールドカップの予選は世界中で行なわれており、近々のウインドウでは、スロベニアのルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)やフィンランドのラウリ・マルカネン(クリーブランド・キャバリアーズ)、アルゼンチンのファクンド・カンパッソ(デンバー・ナゲッツ)、チェコのトマシュ・サトランスキー(今夏ウィザーズからFCバルセロナに移籍)といったNBA選手たちが、長く厳しいシーズンのあとにもかかわらず、母国のユニフォームを着て戦っている。

 2023年ワールドカップはフィリピン、日本、インドネシアの共催で、日本は開催国枠での出場が決まっている。そういう事情が主力を招集できていない状況を呼んでいるのだろうが、とはいえ他国との温度差を感じざるを得ない。

 しかし、トロント・ラプターズなど過去4シーズンNBAでプレーしてきた渡邊の参加で、日本もようやく中核のエース格たる選手が1名、加わった形となった。

 ホーバスHCは「ハングリーな選手がいなければカルチャーチェンジ(=勝つための飽くなき渇望をもたらすこと)はできない」と強調しつつ、渡邊の加入を歓迎した。

「(渡邊の参加は)オン・ザ・コートでも大きいですが、オフ・ザ・コートでの彼の気持ちもすばらしいです。ドンチッチも長いNBAのシーズンが終わって、プレーオフでもたくさんの試合に出て、でもシーズンが終わって1週間後にはもう『代表チームでやりたい』と言っていました。

 あれにはすごいなと思いましたが、渡邊選手も考え方は一緒。今、彼もNBAの契約(を探す)とかいろいろありますが、日本のために戻ってきてくれた。いい練習をしていますし、感謝です」

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