町田瑠唯のWNBAデビューをホーバスHCはどう見たか。「パススキルは世界最高峰。ルイの人気はもっと上がっていくはず」

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

トム・ホーバスHC「町田瑠唯WNBAデビュー」を語る@後編

 現在はバスケットボール男子日本代表の指揮官を務め、2024年のパリ五輪に向けて全力を注いでいるトム・ホーバスHC。しかし今も、長年指導してきた女子選手たちの動向に気をかける。

 そのなかでも特に気になる選手のひとりは、日本人4人目のWNBAプレーヤーとなった町田瑠唯(ワシントン・ミスティックス/PG)の存在だろう。彼女の成長を見届けてきたホーバスHCに、29歳にして世界最高峰リーグで新境地を求める162cmの小兵選手の力量や、これからの期待を聞いた。

◆前編はこちら>>「町田瑠唯のWNBA移籍を実現させたホーバスHCの人脈」

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町田瑠唯のパス技術はWNBAでも通用するレベル町田瑠唯のパス技術はWNBAでも通用するレベルこの記事に関連する写真を見る---- 町田選手はデビュー早々、WNBAで高いパススキルを披露しています。相手チームの誰も予測できないようなところにパスをさばいたりもしていますね。

「ルイのパススキルが世界で1番かどうかはわかりませんが、五輪での活躍を見てもわかるとおり、最高峰の技術を持ったひとりであるとは言えます。HCだった私としても、そこはとてもうれしい。

 というのは、ルイはけっして『自分が、自分が』といった目立ちたがり屋ではありません。彼女のプレーは人々の目を引くものですし、とてもハードにプレーしますが、それ以外のところでの彼女は周りから関心を惹きたいタイプの人間ではありません。

 もしかしたらNBAやWNBAの世界ではもっと目立ちたがり屋のほうがいいのかもしれませんが、ルイはそういう選手ではないのです。だからこそ今、人々が彼女に注目してくれていることがうれしいですし、そのチャンスが与えられたことに興奮を覚えるのです」

---- 町田選手を長い間指導してきて、それでも彼女のプレーで驚かされることはありましたか?

「はい、時々ありました。思い出すのは、東京五輪のナイジェリア戦です。ルイは20分しかプレーしなくて、それでも五輪タイ記録の15アシストを記録したのですが、私はそれが五輪記録とは知らなかった。なので、試合後に私は『記録のことを知っていたら、もう少しプレーさせていたのに申し訳なかった』と謝りました。

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