Bリーグ・ポストシーズンで注目したい3人の若き才能たち。大ケガからの復活、「関西人」、悪魔の左手... (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 同月末からチームに合流した大倉は、すかさずコートに立つ機会を得て、毎試合15分程度の出場時間を獲得していった。昨季優勝のジェッツという選手層が厚い強豪でそれができているのは、やはり身体能力が高く年々技術も向上している彼の能力の高さを物語っている。

 動きもわずか1年前に重傷を負ったとは思えないほどで、ケガ前と同じようにダイナミックだ。平均得点(5.0)やリバウンド(1.7)などでキャリア最高の数字を挙げていることは、ジェッツで3年連続プレーしてシステムを理解し、それにフィットしている証左でもある。

 チームで唯一PGとSGの両ポジションでプレーできるいわゆるコンボガードで、そのことが大野篤史ヘッドコーチの状況に応じた選手起用に幅を持たせている。PGとして試合終盤の重要な時間帯で起用されることもあれば、スターPGの富樫勇樹と同時に出場し、外角シュートを中心としたスコアラーとして出場する場面も増えている。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 試合の出だしの悪さというチームの課題解消の意図もあり、シーズン最後の2試合で大倉はBリーグで初めて先発出場を果たした。チームからの信頼度が上がってきた証であるし、対戦相手からすれば、彼という才能が加わったことでよりやっかいなチームになったとも言える。

 ジェッツは今季、外国籍選手2名が加入するなど、新たな陣容で戦っている。Bリーグ連覇を狙う同軍にとって、大倉もまた貴重な「パズルのピースのひとつ」だと言える。

★吉井裕鷹(よしい・ひろたか/アルバルク東京 No.8)
スモールフォワード
1998年6月4日生まれ、大阪府出身(23歳)
大阪学院大学高校→大阪学院大学/196cm、94kg

 2017−18シーズンと2018−19シーズンに2度のBリーグ王者に輝いたアルバルク東京は、シーズン終盤になってPGジョーダン・テイラー、C/Fライアン・ロシター、Cアレックス・カークとチームの核が故障等で欠場する緊急事態に見舞われた。一時は東地区2位だった順位を最終的に3位に落とし、CSのクォーターファイナルをアウェーで迎えることとなった。

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