八村塁の弱点だった3Pシュートが劇的に進歩。2歳年上の先輩のアドバイスは「考えるのをやめてアグレッシブに」

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

3P成功率は突出した高確率

 トレードは、そんなチームのバランスを修正するためにも必要なことだった。ベテランの4選手を出して3人獲得し、そのうちのひとりは20歳の育成期の選手だったことでロスターが整理された。

 ビールの離脱とトレードの結果、八村ら若手選手たちにとっては出場時間が増え、役割の面でもより大きな機会が与えられることになった。

 そんななかでの、八村の活躍だった。第4クォーターの13点は速攻からのダンクが2本、リバウンドからのティップインが1本、チームメイトとのピック&ロールのコンビプレーからのダンクが2本、そして冒頭の3ポイントシュートと、八村らしい幅広い攻撃パターンを見せたことも注目に値する。

 試合後、アンセルドHCは八村の第4クォーターでの活躍について、「これまで短時間での輝きを見ることはあったが、こうやって長い時間の活躍を見ることができたのは明るい材料。自信をもってシュートを打ち、自信をもってプレーし、チームメイトたちも彼のことを信頼していた。彼にとってまた一歩、前進となった試合だった」と評価した。

 特に好調なのが、3ポイントシュートだ。この試合でも2本打って2本成功の成功率100%。シーズン通算では39本打ち、18本成功させ、46.2%の高い成功率をあげている。本数が少ないためリーグランキングに名前は出てこないが、同じペースでシーズン全82試合に出場していれば、上位を争うことができるだけの確率だ。

 ゴンザガ大時代やNBA1年目には、八村が外にいるとマークマンが安心して下がって守っていたことを考えると、大きな進歩だ。八村も「ここ(ウィザーズ)に来て以来、ずっと練習してきたおかげで上達し、自分でも自信をもって3ポイントを打てるようになりました」と胸を張った。

 もっともその一方で、自分にとって3ポイントシュートがすべてではないとも語る。

「3ポイントは自分のゲームの一部であって、一番の武器というわけではない。もちろん3ポイントがあればドライブも簡単になり、リムをアタックすることもできるようになりますけれど......」

 つまり、3ポイントシュートは得意とするプレーをするための入口に過ぎない、というわけだ。

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