「理想の上司」トム・ホーバスHCが説く男子バスケ日本代表のやるべきスタイル。「強くなるための魔法はない」 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 彼がこのシステムに馴染めば、PFなのにアウトサイドでプレーができる貴重な戦力となります。彼はパスもうまいので、私のチームにおけるドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)になれますよ」

【日本代表がやるべきスタイル】

---- 張本選手にそう伝えたように、ほかの選手にも女子代表の選手と比較して役割のイメージを伝えたのですか?

「はい、何人かには。PG齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)は3Pも打てて、ペイント内に切れ込んで得点も奪え、プレーの判断をすばやく下せるので、本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)のようだと。あと、SF金丸晃輔(島根スサノオマジック)は我々に必要なピュアシューターなので、男子代表に来てくれれば林咲希(エネオス・サンフラワーズ)のような存在になれると思います」

---- 東京オリンピックの時には「男子はリングの上で戦う空中戦の要素もあるが、女子はそうではなくて、より平面での戦いだ」というようなことを言っていました。こうした男女のゲームの違いによって、ホ--バスHCの仕事も変わってきますか?

「今回の仙台でのチームは、それほど空中戦を展開するような陣容ではなかったですけどね(笑)。日本男子代表に限って言えば、我々は空中戦よりスペーシングとフロアを広く使うことを重要視し、スピードを使ってフルコートの展開を重視しています。ディフェンスでも高さがない分、相手をできるだけペイントに入れさせないことに注力しています。

 私はこのやり方こそが、日本がやるべきスタイルだと思っています。ただ、大前提としては40分間、1分たりとも気を抜かずに激しくプレーし続けなければなりません」

---- 東京オリンピックで女子代表を偉業に導いた手腕と、選手たちに厳しく接する姿から「理想の上司」とも呼ばれました。

「そう言っていただいて光栄です。しかし『理想の上司』だなんて、面白い発想ですよね。バスケットボールの指導を通じて、人々の先頭に立ち、集団をまとめる術を身に着けさせてくれたと思っています。

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