渡邊雄太がNBAで生き残る自信を得たワンプレーとは。継続した努力の結実

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/アフロ

 同時に、課題だったロングジャンパーの精度が高まったことも多きい。今季の3ポイントシュートの成功率は40%。開幕前から目標に掲げていた「40」という数字をクリアし、シーズン終盤には、そのシュート力がチームメイトたちからも"武器"として認められたようにも見えた。

「大学の4年間、Gリーグでの2シーズンでも、シーズンをとおして40%で決められたシーズンはなかったです」

 渡邊はジョージ・ワシントン大学1年時から、シュート力に対する自信を語っていたが、3ポイントシュート成功率は4年時の36.4%がベストだった。メンフィス・ハッスルでの過去2年も33.1%、36.4%。特にプロ入り後は、最初の1、2本を外すとやや消極的になる傾向も見られた。しかし今季後半は、その部分が解消されたことでオフェンス面の壁をついに破った印象があった。

「(4月2日の)ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦が好調の兆しとなった試合かなと思います。そこで、今まで苦手としていたリング周りのフィニッシュでエンドワン(シュートを決めて、なおかつファウルをもらうプレー)を取ったんです。NBAに来てからできていなかったプレーでした。試合に出られなかった期間も継続して練習していましたし、周りからも言われていた部分だったので、そういう成功例が出ると自信につながります」

 オフェンス面が最大の課題とされてきた渡邊にとって、懸案のひとつだった"リング周辺の力強いフィニッシュ"が向上した意味は大きかった。ゴール前での決定力が上がれば、外からのロングジャンパーも打ちやすくなる。

 そんな相乗効果のおかげで、4月の3ポイントシュートの成功率は45.9%と一気に跳ね上がる。もともとディフェンスはNBAでも十分に通用するレベルだったため、得点力を引き上げたことには千金の価値があった。4月の本契約は、こうしたオフェンス面の向上、特にロングジャンパーの精度アップがなければあり得なかったはずだ。

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