渡邊雄太の評価が急上昇。NBA本契約の可能性を現地記者が分析 (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/AFLO

 渡邊は昨年12月31日のニューヨーク・ニックス戦で今季の公式戦デビューを飾り、現時点で自己最長に並ぶ7試合連続出場を果たしている。平均出場時間は12.6分ではあるが、ローズ記者が「限られたプレー機会を最大限活用しています」と言うように、毎試合、リバウンド、アシスト、スチールなどで存在感を示している。

 現地では特に、渡邊のディフェンス力に注目が集まっている。「とにかく優秀なディフェンダーです。ラプターズは非常に複雑なディフェンス戦略を採用しており、ひとりでもズレるとすべてが崩壊するほどですが、彼がミスをすることは稀です」とローズ記者。また、前出のルー記者も「新加入する選手はチームのディフェンス戦略には苦労するのですが、渡邊は非常に早く適応しています」と、その能力の高さに注目している。

 試合毎の活躍は、地元でも連日話題を呼んでいる。特に話題となったのは1月29日のサクラメント・キングス戦だ。同試合では、今季最長24分27秒出場し、自己最多の12得点、6リバウンド、2アシスト、2スチールを記録。この日、カナダのTwitterでは、トレンド1位に「Yuta」、6位に「watanabe」が入るほど、そのプレーで多くのファンを魅了した。

 カナダで最大部数を誇る『トロント・スター』紙で、チームの番記者を20年務めるダグ・スミス記者に渡邊の魅力について聞くと、「派手なプレーはありませんが、ディフェンス、リバウンド、ランプレー、オープンショットなどの細かいプレーで非常に優れています」と話した。さらに、別の地元紙『トロント・サン』のライアン・ウォルスタット記者も、「スタートダッシュに"こけた"チームを救ってくれました」と称賛している。

 チーム内でも評価が高まっている。現地では「ニック・ナースヘッドコーチ(HC)が渡邊を気に入っている」と報道されているが、ルー記者によれば、「チーム全体のディフェンス力は昨年に比べて劣っていますが、その中で渡邊は優れたディフェンス力を発揮しています。また、ファウルなしで守備ができるスキルに、ナースHCは信頼を置いている」という。

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