八村塁、プロ1年目の危機感。「3Pを打てないとNBAに残れない」 (4ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 シーディングゲームでの八村は、決して大活躍をしたわけではなかった。中断前とスタッツを比べると、得点、リバウンド、アシストはすべて数字を伸ばしているが、どれも微増。役割が大きくなった割には物足りないと感じた人もいるかもしれない。

 フィールドゴール成功率は中断前の47.8%から40.4%に落ち、マークされるなかでシュートを決めることの難しさを痛感した。ただ3Pシュートは、試合あたりの試投数はまだ2.0本と少ないが、成功率は中断前の27.4%から35.7%に上げている。

 そういった表に見える結果や数字以上に大事だったのは、新しい経験をいくつも得たことだ。たとえばオフェンスでは、ダブルチームでマークされることや、3Pシュートを1試合で9本も打ったこと。

 一方ディフェンスでも、将来的にスモールフォワードのポジションができるかを見るため、自分よりサイズが小さく俊敏性があり、ピック&ロールを使って攻める選手のマークを任される機会を与えられた。ブルックスHCは「かなり高いレベルで守ることができていた」と評価している。

 新しい経験のなかで壁にぶつかったこともあったが、それによって、来シーズンまでに何を練習しなくてはいけないかもはっきりとした。プレーオフ出場という目標は叶わなかったが、それでも八村自身、ケガやコロナ禍を乗り越え、"バブル"のなかでの戦いも経験し、やり切ったと思えるようなシーズンの締めくくりだった。

 最終戦を終えた後、八村は言った。

「このルーキーシーズンは本当に長くて、すごくいろんなことがあったんですけれど、振り返るといろいろ学べた時期でしたし、これからもこの1年やったことが役に立つと思う。この1年間、まず無事に終われたことに感謝して、次のシーズンに向けてがんばりたいと思います」

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