2020.08.25

八村塁、プロ1年目の危機感。
「3Pを打てないとNBAに残れない」

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 試合を通して打った3Pシュートの数は、自己最多の9本。そのうち決めたのは3本だけで、とても確率がいいとは言えなかったが、それでも自分のリズムで打っていったことをブルックスHCは評価した。

「塁はずっと3Pシュートを練習してきた。今日は思い切りよく打ったのがよかった。どれもオープンな状態で、いい感じのシュートだった」

◆「田臥勇太が語る、能代工時代の憂鬱な夏」の記事はこちら>>>

 ブルックスHCが言うように、八村は3Pシュートの練習に力を入れてきた。シーズンが中断した期間中にはアシスタントコーチのコーリー・ゲインズの指導のもと、それまで直線に近かったシュートの軌道を、アーチをつけるように修正し、確率も上がってきていた。

 シーズンが再開し、チーム首脳陣は八村に「3Pシュートを積極的に打つ」という課題を与えた。いくら練習して上達しても、実戦で打たなければ自信にはならないからだ。

 トミー・シェパードGMは、シーズン後の会見でこう語っている。

「塁の目標として私たちが考えていたのは、3Pラインの外に攻撃範囲を広げ、3Pシュートを打つことだった。とくにトランジションの攻撃では、トレイラーとしてトップから打ってほしかった。コートのいろいろなエリアからシュートを打つ機会を与えるようにしていた」

 シーディングゲームが始まった頃、八村は3Pシュートについて聞かれると、「自分は3Pシューターではないので」と前置きをすることも多かった。それは、3Pシュートを打つことに対する躊躇の表れのように聞こえた。

 たしかに八村は、シューターではない。しかし今のNBAでは、たとえビッグマンでも3Pシュートを打ち、平均的な確率で決められないと、本来の持ち味も発揮しにくくなり、居場所がなくなる。

 八村もバックス戦のような極端な対応策を取られたことで、3Pシュートが必要だということは骨身にしみて痛感したようだ。シーズン終了後には「3Pを打てないと、リーグには残れないと思う」と言っていた。