八村塁に求められるエースの役割。「スリーも自信を持って打てる」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 もちろん八村は、ただただ"パンデミック下の開幕"に向けてエキサイトしているわけではない。アメリカ国内では、依然として多くの人間がウイルスに苦しんでいる。そういった中でプレーすることへの不安を尋ねると、再び成長を感じさせる言葉が返ってきた。

「(怖さは)もちろんありますね。どの選手もあると思います。子供がいたり、家族が一緒に住んでいる選手もたくさんいます。僕も子供がいたらどうだったのかなと思いますし、やっぱり健康第一でいきたいです」

 リスクを理解し、恐怖心もありながら、八村は欠場を考えなかったという。だとすれば、ある程度は精神的に安定した状態で実戦を迎えられそうだ。現実的に、フロリダ州オーランドでのリーグ再開後は、八村がウィザーズ内で重要な役割を担うことになる可能性は高い。

 中断時点でイースタン・カンファレンス9位だったウィザーズからは、得点源のひとりだったダビス・ベルターンズが、オーランドでのプレーを辞退することを表明している。さらに7月8日には、大黒柱のブラッドリー・ビールも肩の痛みでチームを離れることになった。トミー・シェパードGMは「誰がチームの得点リーダーになるかはまだわからない」と話してはいたが、現実的に八村がエース的な役割を任されることになるのだろう。

「僕らもプレーオフに行けるチャンスがあると思う。8試合をしっかりと戦って、シーズンもこんな感じになってしまっているんですけど、僕としてもルーキーシーズンをしっかり終わらせて、次のステージに行けたらいいなと思います」

 プレーオフ圏内の7位にいるブルックリン・ネッツも欠場する選手が続出しており、ウィザーズのポストシーズン進出の可能性を語る声も増えてきている。ただ、ドラフト上位指名権を得られるという点で、プレーオフを逃すことにはメリットもある。オーガニゼーション全体の最優先課題はプレーオフ進出ではあるまい。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る