八村塁の活躍に宇宙飛行士も感嘆。強豪相手に今季ベストプレーを見せた (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by ZUMA Press/AFLO

 チーム再建中のウィザーズは明らかに戦力が不足しており、勝ちに恵まれなかったのは八村だけの責任ではない。それでも、負け試合がベストゲームでは寂しいし、イースタン・カンファレンスのトップチーム撃破に攻守で貢献した76ers戦にこそ、大きな価値があるように思えたのだ。

「生で彼のプレーを見るのは初めてなんですけど、ルーキーとは思えないくらい伸び伸びとしていました。そうそうたるメンバーが揃った76ersという強いチームを相手に、すごく自由な感じで、堂々とプレーしていた印象です」

 この日、コートサイドで試合を見た宇宙飛行士の野口聡一さんが、目を輝かせてそう述べていたことも鮮明に覚えている。"ビッグネーム"を揃えたチームを倒す立役者になった、八村に対する「同じ日本人として誇らしい」という言葉に嘘はなかったはず。そんなストーリーラインまで含め、やはりこのゲームが"ベスト"だろう。

 もちろんNBAで一流と認められるには、この日のような働きをより安定して見せる必要がある。プロ1年目の八村は、まだ試合ごとにムラがある感が否めない。ただ、22歳のルーキーに課題があるのは当然のこと。好調時には強豪チームを相手にも十分に力を発揮できると証明できたことは、今後を考えても心強い。

 NBAのスターになる選手は、得てして1〜2年目に大きく伸びるものだ。だとすれば、プロ2年目の来季が持つ意味は大きい。日本男子バスケ界の最高傑作がさらなる覚醒を果たし、ハイレベルでスキのないプレーをより多く見せてくれることを期待している。

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