八村塁のベストゲームのひとつ。
MVP相手に守備で見せた成長の証

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 もちろんこの1戦で、八村がディフェンス面で開眼したというわけではなく、その後の数試合では守備の不安定さを垣間見せている。最強プレーヤーとマッチアップしたバックス戦ではディフェンス中心に臨む心構えが感じられたが、普段のゲームでは、集中力を保つのに苦労している印象もある。攻守両面をハイレベルで安定させることが、今季終盤の課題になりそうだ。

 ただ、経験不足のルーキーが、1年目にディフェンスに苦しむのは当たり前のこと。まだ学ぶべきところは山ほどあるにしても、少なくともバックス戦でディフェンス面のポテンシャルも見せたことに、本人、周囲ともに勇気づけられたのではないか。

"エリートディフェンダー"と呼ばれる位置にまでたどり着けるかは微妙だとしても、フィジカルの強さ、身体能力、クイックネスなど、八村は上質な"2ウェイプレイヤー(攻守両面に優れた選手)"になる素養は持っている。それを生かすも殺すも、今後の努力次第。アデトクンボとの対戦で新たな自信を手にした八村なら、ディフェンス面も伸びやかに向上させられるはずだ。

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