16年ぶりのNBAジャパンゲームズ。
過去を振り返り、思いを馳せる

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 注目度がより高かったのは、やはりロケッツだろう。生で見るラッセル・ウエストブルック(PG)のプレーがテレビ画面よりも速く見えたのは錯覚だろうか。ウエストブルックは1試合目13得点、2試合目22得点と大活躍。ウエストブルックはハーデンと共存できるのか......その明快な回答はジャパンゲームズでは出されなかったが、不安よりも期待が大きいことは十分に証明した。

 絶対的エースのハーデンは代名詞とも言えるステップバックスリーを沈め、何度も会場を沸かせた。だが、訪れたファンが最も見届けたかったのは、新技の「片足スリー」だったはずだ。

 このオフの期間中、ハーデンのトレーニング風景がSNSにアップされると、そこに映った新技が話題を呼んだ。ステップバックスリーの進化版とも呼べる新技は、後方に下がるのではなく、真横に片足でジャンプしながらシュートを放っていた。「ジャンプシュートはリングに正対して打つ」というバスケットボールの常識を根底から覆す、前代未聞のショットだった。

 残念ながら、ジャパンゲームズで片足スリーが披露されるタイミングは訪れなかった。だが、見たことではなく、見られなかったことが話題となるのも、ハーデンだからこそ。何年か後、片足スリーが常識となった世界で、きっとバスケ好きは「2019年に片足スリーを観に行ったのに、ハーデンは打たなかった」と語り継ぐだろう。

 いや、もしかするとその時、ジャパンゲームズのコートで片足スリーを打つ日本人NBA選手がいるかもしれない――。

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