八村塁が磨くべきスキルは。NBAデビューに向けての課題を分析 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 身体能力の高い八村は、ワールドカップでの国際ルールよりもNBAのほうが力を発揮しやすい、という見方もある。FIBAやアメリカのカレッジバスケットボールよりも、NBAのほうがスペーシング(選手間の距離)が大きいからだ。また、ディフェンス選手が相手を守っていないのにフリースローレーンに3秒以上留まると反則になってしまうため、ゴール近辺のスペースも空きやすく、ドライブインがしやすい。

 さらにアメリカでは、1対1を好む傾向にある。ファジーカスはアメリカと戦う時、「NBAの選手は『(ディフェンスの)ヘルプはいらない』という感じで、1対1でプレーすることにプライドを持っている。アメリカチームが(八村を相手に)守備をコンパクトにしてくるとは思えない」と話していた。

 初めてNBAルールでプレーした7月のサマーリーグで、八村は4試合に出場。インサイド中心、またはアウトサイド中心といった具合に、首脳陣からさまざまな起用法で試された。

 そのなかで、4試合目には最高の25得点を挙げ、3Pシュートも2本決めている。NBAのスペーシングに慣れてきた部分もあっただろうが、八村は主にアウトサイドのポジションで1対1の状況を心地よくプレーしていたように思われた。

 八村の武器は、オフェンスだけではない。ドラフト時に比較対象として昨季NBAファイナルのMVPカワイ・レナード(SF/ロサンゼルス・クリッパーズ)の名が挙げられたように、八村はディフェンスも含めたトータルな力量を評価されている。八村自身もサマーリーグやワールドカップで、「リバウンドやディフェンスが大事」と強調していた。

 冷静な判断力を持つ八村には、ブロックなどディフェンス面の嗅覚も備わっている。ワールドカップ直前に行なわれた強化試合のドイツ戦では、接戦となった終盤でデニス・シュルーダー(PG/オクラホマシティ・サンダー)の素早いレイアップを見事にブロックし、これを勢いに格上から勝利を奪った。

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