2019.09.20

八村塁が磨くべきスキルは。
NBAデビューに向けての課題を分析

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 3戦目のアメリカ戦。12名のロスター選手すべてがNBA選手であるアメリカとの対戦を、八村も心待ちにしていた。だが、絞りに絞った雑巾は、もはや乾き切っていたのではないだろうか。結果、八村らしい強烈なダンクを1度は披露したものの、わずか4得点のみに終わった。

 高校時代から注目を浴び続ける八村は、脚光を浴びること自体は「何も新しいことではない」と言う。ワールドカップでNBA選手を中心とした世界のトップと対戦することについては「楽しみ」とも語っていた。そうしたプレッシャーのかけられる状況に対し、当人はグチめいたことも言わない。

 だが、あまりにも負担は大きかった。プレー面においても、八村以外に攻守の核となる選手が多くいなかったため、彼が抑えられたことでチームが機能しなくなった。

 いずれにしても、ワールドカップでの出来だけで八村の力量を断じないほうがよい。NBAドラフトで1巡目指名を受けたことは快挙だが、彼はNBAの正式な試合に1度も出場していない。八村はまだ、NBA選手にはなっていないのだ。

 初戦のトルコ戦で八村は、エルサン・イルヤソバ(PF/ミルウォーキー・バックス)とマッチアップする時間が長かった。NBAで10年以上プレーするベテランの巧みな技の前に、パスを受け取るのにも苦労する場面が多々あった。

 自身もNBAでのプレー経験があり、昨年日本国籍を取得して代表入りしたニック・ファジーカス(C/川崎ブレイブサンダース)は、世界最高峰リーグで長年プレーするイルヤソバが八村に十全なパフォーマンスをさせない「トリックをいくつも持っている」と話した。

「一方のルイは、まだこれからの選手だ」(ファジーカス)

 ウィザーズでの八村がPFで使われるのか、SFで使われるのか、起用法は現時点ではわからない。だが、ビッグマンですら走って3Pシュートも打てることが求められる今のNBAにおいて、どのポジションを担うにせよ、八村が潰しておくべき課題はある。さしずめ、ワールドカップで1本も決めることができなかった3Pシュートは、そのひとつだ。