前進あるのみ。八村塁がW杯に出たからこそ得ることができた「学び」 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文 text by Konagayoshi Yoko
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo

 これまでの対戦相手は、八村に対してダブルチームやトリプルチームでついていたが、アメリカは1対1で八村を抑え込んでいた。そこからもこの先、八村が挑む世界のレベルの高さがうかがえた。世界大会に出れば八村が徹底マークを受けるのは当然だが、その際に的確な判断力でチームメイトを生かす引き出しを増やすことも今後は必要となる。

 また、トルコ戦以外はフリースローの確率が悪かった(チェコ戦8本中5本、アメリカ戦2本中0本)。高校時代はフリースローの確率が高かった八村だが、2年前のU19ワールドカップあたりからシュート時に前のめりになる癖が出てきていたが、それを改善し、今はシュートタッチや軌道を修正しているのが練習からも見てとれた。みずからコンタクトプレーに挑む八村はフリースローを打つ機会も多い。ウィザーズで必ず克服しなければならない課題だ。

 こうした課題と向き合えた初のW杯だが、何より収穫だったのは対戦国やNBAの先輩たちから容赦ない本気の対策をされたことだ。まだデビュー前のルーキーであるが、これから戦うNBAでのステップになったことは間違いない。これこそが八村にとって、W杯に出なければわからなかった学びだろう。

 八村は昨年、代表合流の際に『希望が帰ってくる』と謳われたことに「最初は違和感があった」と漏らしたことがある。

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